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2023年5月29日
石原順
1個4万ドルのチップがバカ売れでエヌビディアの株価が急騰
「高速化したコンピューティングと生成AIという2つの転機を迎えている」、日本経済新聞の5月26日の記事「米エヌビディア、AI半導体成長 時価総額6位に浮上」によると、米半導体大手のエヌビディアのジェンスン・ファンCEOは24日に開催した決算説明会でこう語ったと言う。 決算発表を受けたエヌビディアの株価は急騰し、先週金曜日の終値で集計すると、米国株式市場における時価総額はアップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン(AMZN)に次ぐ4位に躍り出た。すでに世界で最も価値のある半導体チップ企業であったが、その時価評価額は10億ドルまで近づいている。
エヌビディアの2023年2-4月期の売上高は前年同期比13%減の71億9200万ドルだったものの、純利益は26%増の20億4300万ドル(約2800億円)だった。収益性の高い生成AI向けの製品が伸びて増益を確保した。
●エヌビディアの売上高と純利益の推移 出所:決算資料より筆者作成
●エヌビディア(日足)
マーケットナビゲーターの売買シグナル(ピンク:買いトレンド・シアン:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
●エヌビディア(週足)
市場の大きなサプライズとなったのはともに発表した5-7月期(第2四半期)の売上高見通しだ。5-7月期の売上高は約110億ドルと、市場予想の約71億ドルを大幅に上回ると見られている。けん引役となるのは、エヌビディアが世界シェアの8割を握るとされているAI(人工知能)向け半導体である。AI用半導体はゲーム用半導体の5〜10倍程度の値段で販売されているケースもあり、エヌビディアは低迷するゲーム用半導体の供給の一部をAI向けに振り向けたと見られている。
5月24日のロイターの記事「米エヌビディア、AI半導体好調で強気の売上高見通し 株価急騰」によると、ロイターのインタビューに答えたフアンCEOは、最新のAI用半導体は昨年8月に本格生産を開始していたため、対話型AIアプリの人気に火が付いた後も対応の余地が多少あったと説明。今年1月に急激な需要増があり、「追加の発注を強いられた。年後半に向けて大幅に調達を増やした」とのこと。たとえば、米新興オープンAIの「ChatGPT」は約1万個のGPUを使って学習しているといわれている。
フィナンシャルタイムズの記事「How Nvidia created the chip powering the generative AI boom(エヌビディアはどのように生成AIブームを支えるチップを作ったのか?)」によると、AIに向けに高速化したGPUの新製品「H100」 シリーズは、これまで製造した中で最も強力なプロセッサの1つであり、1つあたり約4万ドルもする最も高価なプロセッサの1つであると言う。
この「H100」シリーズをエヌビディアが投入したのは2022年だった。インフレが加速する中、多くの企業がIT支出を抑えようとしていたところで、タイミングでとしては悪いと思われていた。本格的に大規模な製造を開始したのはChatGPTがデビューする数週間前だった。
そこに昨年11月、ChatGPTがリリースされた。ファンCEOは、「昨年はかなり厳しい状況だったが、一夜にして好転した。ハッとさせられる瞬間」だったと述べた。まさに需要が生まれた瞬間だった。ChatGPTの突然の人気によって、マイクロソフトやアマゾンなどのビッグテック企業、オープンAIを始めとしたジェネレーティブAIスタートアップ企業がこぞって「H100」の入手を急いでいる。
「H100」は、最新のiPhoneを動かすプロセッサーの5倍に相当する800億個のトランジスタを搭載している。また、2020年に発売された前身である「A100」の2倍の価格であるが、「H100」は少なくとも3倍以上の性能を誇るとされている。 今週の市場における熱狂は楽観的すぎるようにも見えるが、米調査会社のMarket.USのレポートによると、世界のAI市場は2032年に2兆7450億ドルまで拡大すると試算されている。年平均成長率は約36%だ。半導体の計算能力の向上とともにAIの進歩も続くだろう。
●拡大が続く世界のAI市場
出所:各種データより筆者作成
AI市場を制するものが世界を制する、加速するAI専用チップをめぐる競争
マイクロソフトの創業者であるビル・ゲイツ氏は3月21日、「The Age of AI has begun(AIの時代が始まった)」と題するブログを投稿し、人工知能は、携帯電話、マイクロプロセッサー、パーソナルコンピューター、インターネットと同じように革命的なものだと主張し、次のように述べている。
私は幸運にも、PC革命とインターネット革命に携わることができた。この瞬間も同じように興奮している。この新しいテクノロジーは、世界中の人々の生活を向上させることができる。同時に、人工知能のデメリットがそのメリットをはるかに上回るように、そして、どこに住んでいても、どれだけお金を持っていても、誰もがそのメリットを享受できるように、世界は道のルールを確立する必要がある。AIの時代は、チャンスと責任に満ちている。
ゲイツ氏のブログでも指摘されているように、AI技術の向上と同時にAIの性能を最大限に発揮できるAI半導体チップの開発競争が加速している。AI半導体チップとは、AIの演算処理を高速化するために設計された専用の半導体チップである。
AIが使われる範囲が拡大すると同時に、機械学習(マシンラーニング)や深層学習(ディープラーニング)が台頭している。AIの学習に必要な計算量は飛躍的に増加しており、汎用プロセッサだけでは処理が追いつかなくなっている。膨大な量のデータを高速に処理することができる、高性能で消費電力を抑えた専用チップを求める需要が高まっている。
東京大学大学院工学系研究科教授の黒田忠広氏はその著書「半導体超進化論 世界を制する技術の未来」の中で、今後のコンピューティングの課題はエネルギー効率の向上だと指摘している。そしてエネルギー危機の原因はAIにあると述べている。爆発的に増大するデータをより高度に分析するために、この10年間の間にAIの計算量は4桁も増大した一方で、その計算を担う汎用プロセッサの電力効率は1桁しか改善していないと言う。
ウォール・ストリート・ジャーナルの2月24日の記事「生成AIに沸く半導体業界、未来のドル箱狙う」によると、エヌビディアは15年前から、AIとの相性が良いことが判明した自社のGPU(画像チップ)をソフトウエア開発者に利用させ、業界をリードする地位を築いており、少なくとも当面は、その支配的な地位から業界で最も利益を得る態勢にあると述べている。
●AI半導体チップ市場は10年で20倍以上に拡大する見通し
米調査会社のVMRによると、AI半導体チップ市場は2031年に2636億ドルになると予想されている。これは2021年の112億ドルに比較して約24倍の規模となる。市場の急拡大が期待され、業界全体に巨額の収益をもたらすと期待されている。エヌビディア以外の企業も黙って見ているだけではない。
クラウド事業を手がけるグーグル(GOOGL)やマイクロソフト、アマゾンがこの開発に乗り出しているほか、自社のパソコンに独自チップを搭載しているアップルもグラフィック性能や演算処理の高速化、消費電力の大幅な削減を実現する半導体チップの設計を手がけている。
資金力のある大手ハイテク各社による最先端分野への投資となるため、投下される資金は莫大なものになるだろう。「AI市場を制するものが世界を制する」とばかりに、今後、AI半導体チップの開発競争はさらに激しさを増すものと想定される。
●日経平均CFD(日足)
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日々の相場動向については、
ブログ『石原順の日々の泡』
https://ishiharajun.wordpress.com/
を参照されたい。
石原順 プロフィール1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のディーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファン ドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市 場に参入し活躍する。相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当 する現役ファンドマネージャーとして活躍中。