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2023年5月15日
石原順
資金の逃避先となるアップル、豊富なキャッシュと健全なバランスシートがその理由
米国株式市場においてアップル(AAPL)とマイクロソフト(MSFT)の強さが際立っている。4月28日のヤフーファイナンスの記事「Apple and Microsoft Have Never Held More Sway Over the S&P 500(アップルとマイクロソフトがS&P500にこれほどの影響力を及ぼしたことはない)」によると、2023年に入りアップルとマイクロソフトの2社は約1兆ドルの価値を追加しており、両社の時価総額を合計するとS&P 500指数全体の14%を占めるという記録的な高水準に達した。
●S&P500に占めるアップルとマイクロソフトの割合(2023年5月12日時点) 出所:各種データより筆者作成
●アップル(週足)マーケットナビゲーターの売買シグナル(ピンク:買いトレンド・シアン:売りトレンド)出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
●マイクロソフト(週足)
マーケットナビゲーターの売買シグナル(ピンク:買いトレンド・シアン:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター
ウォール・ストリート・ジャーナルは3 月 23 日に「FAANGブームに幕、アップルとMSの2強時代」と題する記事の中で、銀行の混乱が続く中、アップルとマイクロソフトはマネーの逃避先として存在感を高めているとし、「FAANG」の時代は明らかに終わり、米国株式市場は目下、大手2社だけに支配されていると指摘している。2銘柄がS&P500において大きなウエートを占めるのは、1978 年の IBM (IBM)と AT&T(T) の組み合わせ以来だと言う。
背景にあるのは、2社が現金を潤沢に保有しておりバランスシートが健全であることだ。
●アップルは日本円にして5兆円を超える現金を保有している
出所:決算資料より筆者作成
そのアップルが4日に発表した第2四半期(2023年1-3月)決算は、売上高が前年同期比3%減の948億3600万ドル(約12兆7300億円)、純利益は3%減の241億6000万ドルだった。ドル高の影響もあり、2四半期連続の減収減益となったが、いずれも市場予想を上回るものとなった。
iPhone部門の売上が予想外に伸びた。景気減速懸念等を受け、世界のスマホ需要は低迷が続いている。4月28日の日本経済新聞の記事「世界スマホ出荷、1〜3月14.6%減 23年後半から回復予測」が取り上げた米調査会社IDCの調査によると2023年1-3月のスマホの世界出荷台数は14.6%減だった。市場全体が低迷している中においても、アップルのiPhone部門は前年同期比2%増の513億3400万ドルと、1-3月期としては過去最高を記録した。
●アップルの売上高と純利益の推移●
●アップルの地域別売上高の前年同期比 出所:決算資料より筆者作成
インドを含む比較的新しい市場で売り上げが好調だったと言う。地域別売上高は米州が8%減、日本が7%減、中華圏は3%減だったのに対し、その他アジアやオセアニアは15%増となった。アップルは4月に直営店の「アップルストア」をインドに初めてオープンした。中でもインドは2桁成長となった。ティム・クックCEO(最高経営責任者)はインタビューの中で、「新興国での業績に満足している。とりわけブラジル、インド、メキシコでの新規顧客向け売り上げが非常に好調だった」と語った。
アップルは決算発表と同時に新たに900億ドルの自社株買い枠も追加した。米著名投資家のウォーレン・バフェットは、先週、開催されたバークシャー・ハザウェイ(BRK.B)社の年次株主総会においてアップルのビジネスを「われわれが所有するどの事業よりも優れた事業だ」と評した。バフェットはその確信をさらに強めていることであろう。
スティーブ・ジョブスが生み出し、ティム・クックが繁栄させたアップルのビジネス
アップルは4月17日、米金融大手ゴールドマン・サックスと組んでアップルカードの保有者を対象とした預金サービスを始めると発表した。預金利回りは4.15%と、通常の貯蓄銀行口座の年利(約0.4%)の10倍以上ということもあり話題となった。米フォーブズ誌が関係者2人の話として報じたところによると、サービス開始後、最初の4日間で9億9000万ドル(約1350億円)の預け入れがあったとのことだ。
一部のインターネット銀行では同程度の利回りを出しているところもあるようだが、アップルが提供するというのが大きなポイントだ。米国で発行されているクレジットカード「アップルカード」を持っていれば、スマートフォン「iPhone」の財布アプリ「ウォレット」から1分もかからずに口座を開設することができる。iPhoneは米国だけでも1億人を上回る利用者がいる。
米国において地方銀行の破綻が続く中、高い信用力と利便性を武器にアップルが新サービスの展開に乗り出してきた。株式市場においてだけではなく、ここでも資金の逃避先としての受け皿になりそうだ。アップルは昨年、iPhoneから直接カード決済ができる「タップ・トゥ・ペイ」を開始し、先月は消費者が金利や手数料なしで4回に分けて支払うことができる後払いサービスの「Buy Now Pay Later(BNPL)」を開始、フィンテックサービスを矢継ぎ早に打ち出している。 こうした金融商品を通じて1億人を上回るアップルユーザーの生活のあらゆる面に溶け込もうとしている。5月8日の日本経済新聞の記事「セブン銀行、Appleと競う「財布」 未来決めるのは信頼」は、世界中にユーザーを抱え、産業界でも屈指のお金持ち会社は「デジタル時代の財布はスマートフォン」の風を吹かせてきたと指摘している。
米フォーブズ誌の4月28日の記事「「アップル銀行」がフィンテック最強になる理由」によると、銀行免許を持たないアップルは、ゴールドマン・サックスとの提携により銀行サービスを開始するが、そのブランド力は、iPhoneの累積販売台数が20億台以上であることを考えると、比類ないものだと指摘している。 アップルは、自社のデジタルウォレットを、貯蓄やピア・ツー・ピア送金、店舗でのタップ・トゥ・ペイなどを組み合わせた、消費者の金融生活における完全なダッシュボードに位置づけようとしている。今回の新サービスで、完全にアップルのなかでお金が回る仕組みができたことになる。
アップルは、ティム・クックの指揮の下、ウェアラブル、ストリーミングサービス、金融サービス等のサービスを展開してきた。クックの戦略の中心は、アップルの収益源を多様化することだった。iPhoneは売上高全体の50%以上を占めるアップルの主力製品であるが、会社がさらに成長し続けるためには、常に新しい製品やサービスを生み出すことが重要である。
以下のチャートは、1985年以降のアップル社の株価を表したものである。The Streetの記事「Under Tim Cook, Apple Stock Reaches Dizzying Heights(ティム・クックのもと、アップル株は目もくらむような高みに到達した)」の中に示されていたものである。 アップルは、1980年代半ばから約10年間、スティーブ・ジョブスが不在の期間低迷していた。1990年代にはほぼ倒産に近い状態にまで落ち込んだ。その後、伝説の経営者であるジョブスがアップルに復帰、さらにiPhoneの発売は株価にとって非常にポジティブなきっかけとなった。
●アップルの評価額の推移
出所:The Street
しかし、アップルの株価が大きく上昇したのは、ティム・クックがCEOに就任して以降のことである。前述の記事によると、2011年以降、株価は年平均26%上昇し、1985年から2010年までの年率21%を上回った。もちろん、低金利という追い風が吹いていたことが最大の上昇要因である。しかし、最も重要なことは、株価がより安定した、つまりリスクの少ないものになったということであろう。アップル株はティム・クックが就任して以降、最高のパフォーマンスを発揮している。
●アップル(月足)マーケットナビゲーターの売買シグナル(ピンク:買いトレンド・シアン:売りトレンド)
●NYダウCFD(日足)
●S&P500CFD(日足)
●ナスダック100CFD(日足)
●ドル/円(日足)
●ユーロ/ドル(日足)
●ゴールドCFD(日足)
日々の相場動向については、
ブログ『石原順の日々の泡』
https://ishiharajun.wordpress.com/
を参照されたい。
石原順 プロフィール1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のディーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファン ドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市 場に参入し活躍する。相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当 する現役ファンドマネージャーとして活躍中。