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「IwaiCosmo Market Topics」

2025年12月26日

2026年の株式市場展望

投資調査部 有沢 正一 投資調査部 有沢 正一

  • 2026年の株式市場は、日経平均5万円台という新たな領域で次の上昇ステージを探る1年になりそうだ。昨年は、米国の関税政策で4月に大幅な下落を余儀なくされたが、その後は一貫して上昇基調をたどり、10月には積極財政による成長戦略を掲げる高市政権への期待から、日経平均は史上初の5万円台乗せを果たした。

    巨大な需要の創出に向けて本格的な普及期を迎えつつある生成AIが、2025年は年間を通じて有力投資テーマとしての圧倒的な存在感を示し、内外の株式市場をけん引した。秋から年末にかけては、自動運転やロボット関連へ物色のすそ野を広げる一方で、米テック企業を始めとする巨額の設備投資が過剰ではないかとの懸念も浮上して、関連企業の株価が伸び悩んでいるが、2026年も中心的な投資テーマとして注目を集めることに変わりはない。半導体やデータセンター需要拡大の恩恵が業績面で反映されつつあるものなどを中心に、折に触れて物色人気を集めそうだ。

    生成AI関連株は世界的な投資テーマとして存在感を保つだろうが、日本固有の投資テーマとしては、高市政権の成長戦略に関わる政策関連のセクターや個別株が人気化する場面も多くなるだろう。政権への期待で早くから人気化した防衛や原発関連に加えて、政権が掲げる重点投資17分野や副首都構想に関わる企業などには注目しておきたい。

    企業業績に関して、2025年度は自動車関連など輸出型企業に米国関税の影響で減益見通しのものが多いが、2026年度については日本企業の業績が再び増益基調に転じると予想されている。2桁増益との予想が多く、2026年度における利益の増加を織り込みながらの株価上昇が期待できる。国内では、高水準の設備投資と堅調な個人消費が企業業績を支えそうだ。

    また、上場企業が資本効率向上に向けての施策を前向きに進めていることも、株式市場を支える強い材料になる。増配と自社株買いという株主還元強化の動きが続き、資本をM&Aなどの成長投資に振り向ける動きも目立ってきた。企業の姿勢の変化は、日本株の投資対象としての魅力を高めることになる。

    人手不足を背景に2026年も高水準の賃上げが続くと思われるが、足もとでマイナスが続いている実質賃金がプラス圏に浮上して、それが定着するようであれば、賃金と物価上昇の好循環が実現する。日銀は緩やかなペースで利上げを継続するだろうが、日本経済におけるデフレから脱却した経済成長が確信できれば、金利の上昇が株式市場に及ぼす悪影響も限定的にとどまるはずだ。

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    出所:市場データより岩井コスモ証券作成