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「マーケットの最前線」

2021年9月13日

第261回「ダラス連銀カプラン総裁が積極的な株式投資!どんな銘柄に投資しているのか?」石原順

石原順 石原順

  • カプラン総裁の王道ポートフォリオ

    ダラス連銀のロバート・カプラン総裁が2020年に、日本円にして1億円を超える株式の取引を複数回行っていたことが明らかになった。

    ダラス連銀のHPによると、カプラン総裁はゴールドマンサックスの副会長をつとめ、その後ハーバードビジネススクールの教授などを経て、2015年9月からダラス連銀の総裁を務めている。その他にも、ステート・ストリート・コーポレーション、ハーバード・マネジメントカンパニー、ベッド・バス・アンド・ビヨンドなどの取締役を務めていた他、フォード財団の評議員、グーグル社の投資諮問委員会の会長なども歴任してきた。

    ウォール・ストリート・ジャーナルは、無制限の量的緩和を提唱し、2022年、あるいは2023年になるまで金利をゼロに保つことを主張していた2020年に100万ドルを超える株式取引を複数回行っていたと指摘している。

    しかも、カプラン総裁は2020年にはFOMCでの投票権を持っていた。

    開示資料によると、カプラン氏は個別の株式、ETF、不動産などを含めたその他の資産計33件を保有しており、そのうちの8割に当たる27件が100万ドルを超える価値のあるものだった。どんな株式を保有していたのか確認してみよう。

    ゴールドマンの元副会長だけあって、ETFと個別をバランスよく組み合わせたヘッジファンドも顔負けの王道ポートフォリオである。個別では、アップル(AAPL)、アマゾン・ドット・コム(AMZN)、アリババ(BABA)、シェブロン(CVX)、フェイスブック(FB)、ゼネラル・エレクトリック(GE)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、オラクル(ORCL)、テスラ(TSLA)などが含まれている。


    昨年、FRBが金融システム全体を救済し、何があってもパーティーを続けてくれるとわかっていれば、大きく買うのは簡単だっただろう。これらの銘柄を保有していれば、エネルギー株に多少足を引っ張られたとしても、昨年は非常に良いパフォーマンスをあげることが出来た一年であったに違いない。

    相場の末期には不正行為や詐欺的行為、さらにはこうした利益相反などのモラルハザードが起きることが多い。例えば、史上最大の巨額詐欺事件である元ナスダック証券取引所の会長であったバーナード・ マドフ事件が発覚したのは2008年であった。


    カプラン総裁は8日、オンライン形式のイベントに登壇し、金融当局による月額1200億ドルの資産購入プログラムについて、現在のデータは9月のテーパリング(段階的縮小)発表と10月の開始が適切であることを示唆しているとの見解を明らかにした。今月21、22に開かれるFOMCに臨んだ上で引き続きそのように感じるのであれば、「9月の会合で購入調整の計画を発表し、そのすぐ後の恐らく10月に開始すべきだと主張することになるだろう」と語った。

    カプラン総裁は高まる批判を受けて、保有する株式について今月末までに売却することを明らかにした。昨年のキャピタルゲインが十分にあり、そろそろパーティーをお開きにするのはちょうど良いタイミングなのかもしれない。


    9月相場のリスクファクター


    歴史的に9月は調整局面になることは多くの皆様がご承知のことであろう。実際に過去の例からすると、9月のリターンは例年の動きを下回っていることがわかる。次のグラフは1928年以降の月別の騰落をまとめたものである。年間を通じて下落が上昇より多いのは9月のみで、下落50回に対して上昇が42回となっている。

    S&P500
    の月別騰落回数(1928年以降)20210913①.png
    出所:ヤルデニリサーチ

    また、9月は平均リターンがマイナス1.0%と顕著なマイナスを示している唯一の月である。

    ●S&P500の月別平均変化率(1928年以降)
    20210913②.png
    出所:ヤルデニリサーチ

    一方で、10月と11月はそれぞれ+0.4%、0.9%となっており、9月の損失を取り戻している。さらに12月は年初来の高値で1年を締めくくる傾向が見て取れる。

    足元では米国株が少し調整含みで推移しているが、シティ・エコノミック・サプライズ・インデックスは引き続き低下しており、市場は楽観の様相を呈している。ゼロ以下の数値は、エコノミストの予測が楽観であることを示している。


    ●シティ・エコノミック・サプライズ・インデックス
    20210913③.png
    出所:ヤルデニリサーチ

    ただし、ここ3ヶ月、VIX(ボラティリティ)が月の中旬に下落し、数日後に急激に上昇、再び下降する傾向を示している。

    ●VIXの推移
    20210913④.png
    出所 ゼロヘッジ

    地政学的リスクの高まりやコロナウィルスの変異株の拡大、また第4四半期に向けて企業業績が想定以上に落ち込みむこと、財政を含めた米国の政治動向、さらには中国経済、仮想通貨の動きなど、いくつかのリスク要因がある。中旬以降、ボラティリティが上昇する局面があることには注意しておきたい。

    日経平均とナスダック100の売買シグナル(赤=買い・黄=売り)

    ●日経平均CFD(日足)標準偏差ボラティリティトレードの売買シグナル
    20210913⑤.png

    ●日経平均CFD(日足)メガトレンドフォロートレードの売買シグナル
    20210913⑥.png

    ●ナスダック100CFD(日足)標準偏差ボラティリティトレードの売買シグナル
    20210913⑦.png

    ●ナスダック100CFD(日足)メガトレンドフォロートレードの売買シグナル
    20210913⑧.png

    日々の相場動向については、

    ブログ『石原順の日々の泡』

    https://ishiharajun.wordpress.com/

    を参照されたい。

    石原順 プロフィール
    1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のデーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファン ドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市 場に参入し活躍する。
    相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当 する現役ファンドマネージャーとして活躍中。