「IwaiCosmo Weekly Letter」
2023年3月27日日本株~27,000円台前半の攻防続く~
岩井コスモ証券投資調査部
■日本株~27,000円台前半の攻防続く~
■予想レンジ(3/27〜3/31) 日経平均株価 27,100円~27,600円
先週の日経平均株価は51円高と小幅反発。欧米金融システムへの警戒が尾を引く一方、金利低下を支えとした米ハイテク株物色が国内の半導体関連に波及し、27000円台前半では底堅さも示しました。米FRBの利上げ実施や年内停止観測、金融不安対応を巡り様々な思惑が交錯、日本株には円高進行も重荷となりました。
3月前半迄のバリュー株物色の反動や機関投資家等の決算対策売りが日本株の下げを増幅したと見られます。ただ予て「彼岸底」とも表現される通り、過去の季節パターンに沿った値動きと言え、日米とも好成績を残してきた4月相場への期待も小さくありません。海外波乱がより深まらなければ相応の修正高が期待できるタイミングと見ます。
決算期末となる今週は29日の権利付最終売買やその後の再投資思惑、さらにIPOラッシュも重なり、国内需給のみでも上下に振れやすい状況です。金融安定化とともに徐々に日本の比較優位を取り戻すと見ますが、円相場睨みで27000円接近場面もありえそうです。好業績銘柄を中心に選別的な押し目買いを心掛けたいところです。
■日本株~週間注目銘柄~
・日本郵政(6178) 高利回り、低PBRの安定配当株。金利環境も追い風に。A
・ミツコシイセタン(3099) 今期3度目上方修正。インバウンド拡大期待高まるなか高額品好調。A
・ルネサス(6723) 前12月期最高益。次世代パワー半導体進出や復配も検討。A
・ダイキン(6367) 環境性能で圧倒的技術力。インド成長取り込み。増益基調。A
注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。
詳細はアナリストレポートをご参照ください。
■ドル円~FRB高官発言や米景気指標への反応に注目~
■予想レンジ(3/27~3/31)ドル円相場 1㌦=129.50~133.50円
先週は、円が主要通貨に対して軒並み強含む展開となりました。金融システム混乱への警戒がくすぶり続けているにもかかわらず、FRBに続きスイス中銀(SNB)、英中銀(BOE)も追加利上げを断行したことで、欧米景気の先行き不透明感が強まり金利が低下、内外金利差縮小に関心が集まったためです。
ドル円については、およそ2ヵ月ぶりに1㌦=129円半ばまで円買いが進む場面がありました。米景気指標の上振れが続きインフレ圧力の根強さを意識させる一方、「日銀の政策修正は長期戦になる」との見方が広がったことを背景に、足元で急速に「円売り・ドル買い」ポジションが積み上がっていた反動が出た模様です。
今週は、FRB高官発言や米主要経済指標に対して、米金利がどのような反応を示すかが焦点となる見通しです。年内利下げ見送りをメインシナリオに据えるFRBに対し、早期利下げを見込む市場との間に大きなギャップが生じているためで、欧米の金融機関に絡む報道からも引き続き目を離せないことになりそうです。
■主な注目イベント
◇27日(月)
東証グロース上場=カバー、1-2月の中国工業企業利益(10:30)、3月の独Ifo企業景況感指数
◇28日(火)
東証グロース上場=アクシスコンサルティング、モンスターラボホールディングス、Arent、
1月米S&Pコアロジックケースシラー住宅価格指数(22:00)、3月米消費者信頼感指数(23:00)
◇29日(水)
東証スタンダード上場=住信SBIネット銀行、東証グロース上場=AnyMind Group
◇30日(木)
2月の建機出荷(建設機械工業会、13:00)、JPX清田CEOの記者会見(15:30)、
東証グロース上場=ビズメイツ、東証スタンダード上場=ノバシステム、
3月独消費者物価指数(CPI、速報値)、10-12月期の米実質国内総生産(GDP)確(21:30)
◇31日(金)
2月の有効求人倍率(厚労省、8:30)、3月の都区部CPI(総務省、8:30)、
2月の失業率(総務省、8:30)、2月の鉱工業生産速報値(経産省、8:50)、
東証グロース上場=ココルポート、東証グロースと福証Qボード上場=Fusic、名証メイン上場=エコム、
3月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)、非製造業PMI(10:30)、
3月のユーロ圏消費者物価指数(HICP、速報値)、2月のユーロ圏失業率(18:00)、
2月米個人所得個人消費支出(PCE、21:30)、3月米消費者態度指数(確報値、ミシガン大学、23:00)、
ウィリアムズニューヨーク連銀総裁が討論会に参加(4/1 4:05) (注)時間は日本時間
■米国株~金融不安の払拭に時間、景気動向に再注目~
■予想レンジ(3/27~3/31) NYダウ 31,400~33,000ドル
3月第4週の米主要株価3指数は上昇。週間ベース(カッコは年初来騰落率)でNYダウが1.18%高(▲2.74%)と反発、S&P500が1.39%高(+3.42%)、ナスダック総合が1.66%高(+12.97%)と続伸しました。S&P500週間騰落では不動産と公益の2業種が下落した半面、通信サービス、エネルギー、素材、情報技術など中心に9業種が上昇しました。 大手銀行と地方銀行で構成されるKBW銀行株指数は週間で0.53%安と続落、月初来の下落率は約3割に達しています。3月22日のFOMCでは0.25%利上げを決定、QT(量的引き締め継続)政策変更なし、政策金利の終着点見通しは据え置かれ、0.25%利上げは残り1回との見方をFRBは、示唆しました。週末はドイツ銀行株が一時1割以上急落するなど、今月上旬の米地銀の経営破綻以降、金融不安を巡って不安定な地合いは継続しています。
FOMCで利上げが決定されたにもかかわらず、金利の低下が止まりません。通常、政策金利に連動しやすい2年国債利回りは3月上旬の5%から週末3.77%へ急低下しました。金融不安を発端に銀行が貸出し態度を厳格化することで、景気を悪化させ、近くFRBが利下げをせざるを得ないと市場で見込んでいるためです。パウエルFRB議長はFOMCで年内利下げを想定していないと述べましたが、市場の年内利下げ期待は非常に強い状態となっています。株式市場では、中小型株よりも大型株を、業種別では昨年売り込まれたグロース株の多い情報技術セクターを集中的に物色する動きが継続しています。地方銀行の不安払拭にはしばらく時間を要すると考えられます。今週は金融不安後の経済指標の発表もあり、改めて景気動向に関心が高まると見込まれます。28日には3月のCB消費者信頼感指数や31日にミシガン大消費者信頼感(確報値)などが注目されそうです。また28~29日には銀行破綻に関する議会公聴会があり、今後の銀行監督行政や銀行経営に関する情報に注視する必要がありそうです。
■外国株・週間注目銘柄
・エヌビディア(NVDA) 2-4月期見通しが市場予想以上。自前のAIクラウドサービスを拡充へ
・マイクロソフト(MSFT) ChatGPTのオープンAIに出資 検索やクラウドで成長取り込む
・メタ・プラットフォームズ(META) 追加リストラを発表。独自AI技術のSNS実装にも期待