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「IwaiCosmo Weekly Letter」

2023年3月13日

日本株~米信用不安に抵抗力示せるか~

岩井コスモ証券投資調査部 岩井コスモ証券投資調査部

  • ■日本株~米信用不安に抵抗力示せるか~
    ■予想レンジ(3/13〜3/17) 日経平均株価 27,600円~28,200円

    先週の日経平均株価は216円高と続伸。米利上げ加速への警戒から各国調整色を強める一方、日本株は旺盛な割安株物色や円安、インバウンド期待などが下値を支えました。途中半年ぶりの高値を付ける場面もありましたが、週末10日には米雇用統計控えるなか一部米銀の経営不振から金融システム不安が浮上、6日ぶり反落で終えました。

    東証株価指数(TOPIX)が約1年半ぶりの高値を付け、プライム市場の高値更新銘柄も当時以来の300社超(ともに9日)となるなど、幅広い銘柄への物色姿勢が確認されています。高配当や円安、中国関連、インバウンドなどへの循環的な物色が保たれ、海外勢からも日本株の優位性を評価するムードに繋がっているようです。

    今週は米中の主要経済指標の発表が相次ぐなか、米CPIが注目されます。例年パフォーマンスが冴えない3月半ば(彼岸底)のタイミングにあって、短期過熱を警戒した持ち高調整や決算対策売りが重荷となる一方、配当取りが底堅さを演出する期待も小さくありません。SVB破綻の影響にも留意は必要です。

    20230313日本株チャート.png









    ■日本株~週間注目銘柄~

    ・日本郵政(6178) 高利回り、低PBRの安定配当株。金利環境も追い風に。A

    ・ミツコシイセタン(3099) 今期3度目上方修正。インバウンド拡大期待高まるなか高額品好調。A

    ・ルネサス(6723) 前12月期最高益。次世代パワー半導体進出や復配も検討。A

    ・ダイキン(6367) 環境性能で圧倒的技術力。インド成長取り込み。増益基調。A


    注)上記、個別銘柄コメントのA、B+などの表記は当社アナリストの投資判断、目標株価を示します。
    詳細はアナリストレポートをご参照ください。







    ■ドル円~米経済指標に注目~
    ■予想レンジ(3/13~3/17)ドル円相場 1㌦=133.50~136.50円

    先週は、やや値動きの荒い展開となりました。パウエルFRB議長の議会証言が予想よりも「タカ派的」だったとの受け止めが広がり、週央に1㌦=137.91円とおよそ3ヵ月ぶりの円安・ドル高水準を付けましたが、その後は日米の週末重要イベントを見極めたいとして、持ち高調整圧力が高まったことが背景です。

    FRBによる金融引き締め長期化観測が改めて強まったことで、米金融システムへの懸念がくすぶり始めたこともドルの重荷となりました。一方で、黒田日銀総裁は自身最後となる金融政策決定会合で現行の大規模緩和の維持を決定、国内金利低下で一旦は円高進行にブレーキが掛かりましたが、10日の米国時間にはSVB破綻を受け134円付近まで円が一段高となりました。

    新たに日銀総裁に就任する植田氏は「政策修正は時間をかけて議論」と明言しているため、当面は米金融政策の行方が焦点となる見通しです。米金融システムを巡る思惑には留意が必要となりますが、ブラックアウト期間入りに伴いFRB高官発言が封じられるなかで、米主要経済指標への関心が高まることになりそうです。

    20230313円相場チャート.png









    ■主な注目イベント

    ◇13日(月)
    政府がマスク着用ルール見直し、1~3月期の法人企業景気予測調査(財務省、8:50)
    2月の投信概況(投資信託協会、15:00)、ゆうちょ銀売出価格決定(16日までのいずれかの日)

    ◇14日(火)
    5年物利付国債入札(財務省10:30)、2月英失業率(16:00)、2月米CPI(21:30)

    ◇15日(水)
    日銀金融政策決定会合議事要旨(17-18日開催分8:50)、2月訪日外国人客数(観光局、16:15)
    1~2月の中国工業生産高、小売売上高、固定資産投資、不動産開発投資(11:00)
    1月のユーロ圏鉱工業生産(19:00)、2月の米卸売物価指数(PPI、21:30)
    2月の米小売売上高(21:30)、3月のニューヨーク連銀製造業景況指数(21:30)
    3月の全米住宅建設業協会(NAHB)住宅市場指数(23:00)

    ◇16日(木)
    2月貿易統計(財務省8:50)、1月機械受注(内閣府8:50)、20年物利付国債入札(財務省10:30)
    2月の中国70都市の新築住宅価格動向(10:30)、欧州中央銀行(ECB)理事会の結果発表
    2月米住宅着工件数、2月米輸出入物価指数、3月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(21:30)

    ◇17日(金)
    1月第3次産業活動指数(経産省13:30)、2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値(19:00)
    2月米鉱工業生産設備稼働率(22:15)、3月米消費者態度指数(速、ミシガン大学、23:00)


    (注)時間は日本時間







    ■米国株~SVBバンク破綻でリスクオフ、LTCM型かベアスターンズ型か~
    ■予想レンジ(3/13~3/17) NYダウ 32,300~34,000ドル

    3月第2週の米主要株価3指数は大幅反落。週間(カッコは年初来騰落率)ベースでNYダウが4.44%安(▲3.73%)、S&P500が4.55%安(+0.58%)、ナスダック総合が4.71%安(+6.42%)と今年最大の下落率を記録。S&P500週間騰落では全11業種別が下落、金融、素材、不動産、裁量消費、エネルギーの5業種が5%を超える下げ、金融が8.5%超の下落率となりました。週前半はパウエルFRB議長のタカ派的な議会証言を受けた金融引き締め継続を警戒した売りが広がり、週後半は、仮想通貨取引業者と取引が多かったシルバーゲート・キャピタルが清算を決めたことやシリコンバレーのベンチャー企業と取引が多かったSVBバンクが短期間に経営破綻に追い込まれたことが金融システム不安に繋がりました。 KBW銀行株指数は週間で15.7%下落、VIX指数は前週末比3割超上昇の24.8ポイントで終了。SBVバンクは金利上昇による保有債券の評価損失、融資先のベンチャー企業の資金繰りの悪化、預金の急速な引出しなどが重なったのが破綻の原因とされていますが、増資を計画して数日で経営破綻に陥ったので、複数の地方銀行やオンライン証券会社の株価は信用不安で週末急落して終えました。今週は金融システム不安が収まるのか注視されます。

    今回の銀行破綻をどうみるのか。金融システム全体への影響が限定された1998年のLTCM(ヘッジファンド)型か、世界金融危機(2007~10年)の入り口となったベアスターンズ型かどちらと見るべきか。SVBバンクの経営破綻を「特異」なケースとみているアナリストが大半であること、金融危機後の銀行の資本規制の強化によって大手行の財務健全性は飛躍的に向上したこと等から、前者のLTCM型のパターンと考えます。今週は14日に2月米消費者物価の発表があり、先週の2ヵ月連続で堅調だった2月の雇用統計と合わせてFOMC(21~22日)で示される利上げ打ち止めがどの水準になるのか占うことになります。SVB銀行破綻をきっかけに利上げペースの鈍化を市場で織り込んでいるものの、市場予想を上回る消費者物価が出れば、株式市場のネガティブな反応が想定されるだけに週前半中心に神経質な展開が予想されます。

    20230313NYダウチャート.png









    ■外国株・週間注目銘柄

    ・エヌビディア(NVDA) 2-4月期見通しが市場予想以上。自前のAIクラウドサービスを拡充へ

    ・マイクロソフト(MSFT) ChatGPTのオープンAIに出資 検索やクラウドで成長取り込む

    ・テスラ(TSLA) 3月1日のIRイベントは材料出尽くしも押し目買いの好機か





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