マーケットレポート

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「マーケットの最前線」

2022年6月20日

第301回「世界金融危機時の前後にどのタイミングでどのセクターが買われたのか!?」石原順

石原順 石原順

  • インフレについて過小評価している投資家は一段の波乱に直面するかもしれない!?

    逆金融相場が始まっている。米国では連銀がQT(量的引き締め)をスタートさせており、連銀の総資産と連動している米国の株式市場は厳しい局面に入っていく。

    すべての市場の下落は、米連銀のバランスシートの縮小または一時停止と一致しているように見える。何百万人もの投資家の判断によって動かされているはずの市場が、毎月同じことを繰り返しているのは市場ではない。それは実行中のプログラムであり、軌道上を走るだけだ。

    ●S&P500指数と米連銀・ECB・日銀の総資産
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    出所:ゼロヘッジ

    2008年のリーマン危機で金融資本主義が崩壊した後は、国家管理相場という中央銀行バブルを作ることでバブルは延命してきたが、それは米欧日がQE(量的緩和)によって資金を注入し続けたからである。今、金融緩和を続けている国は日本以外に存在しない。

    米国におけるインフレ傾向はジョー・バイデン米大統領の政権発足当初から明確に表れ始めた。それはプーチンがウクライナ侵攻を決断した時点よりずっと前からの動きだった。FRBはコロナ禍を背景としたリセッション局面が終息した後も2年近くにわたって超緩和政策を続けた。

    このMMT(現代貨幣理論)政策がインフレを生んだのだ。MMTは政府が自国通貨建ての借金をいくら増やしても財政は破綻せず、インフレもコントロールできるとする理論である。米金融当局は米国経済をソフトランディングできると自信を見せているが、インフレは一度加速し始めると、沈静化させるのが非常に難しい。

    「なぜ世界的に物価が上昇しているのか、詳しく説明するつもりはない。だが、明らかに関係していることがある。中銀による資金量の増加、政府介入の増加(これが供給網の問題や様々な行き詰まりの一因となっている)、ESG(環境・社会・企業統治)の狂気、人々が働かないようにするための給付金の支給、その結果としての労働力の不足、巨額の財政赤字、貿易の禁止などだ。これらがすべてインフレの原因となっている。理解しておきたい重要な点は、それが意図的であろうとなかろうと政府介入による結果であることだ。左派が主張しているような市場の失敗や資本主義体制の欠陥による結果ではない」

    出所:マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート2022年1月号『なぜ誰もが自由からの逃走を望むのか』(パンローリング)

    ●米国の表のCPIと裏のCPI 米国の現実のインフレ率は16%?
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    出所:ShadowStats

    FRBはインフレ対策として利上げとQT(量的引き締め)を開始している。だが、そもそものインフレの原因は過去2年間の米国のMMT政策と、ESG、SDGsといったグリーンフレーション(バイデンフレーション)である。だから、インフレに追いつかない利上げをやってもインフレ退治には効果が薄い。それでも、株式や不動産などの資産価格を暴落させれば少しはインフレ圧力が弱まるかもしれない。しかし、より可能性が高いのは、不景気とインフレが同時に起きるスタグフレーションであろう。

    インフレに対処するために非伝統的な政策を段階的に廃止し、政策金利を引き上げれば、大規模な債務危機と深刻な不況を引き起こすリスクがある。しかし、緩い金融政策を維持すれば、2桁台のインフレに陥り、次の負の供給ショックが発生したときに深いスタグフレーションに陥るリスクも高い。インフレについて過小評価している投資家は一段の波乱に直面するかもしれない。

    景気循環と株式市場の循環


    日本を除く世界が金融引き締めへと急ぐ中、金融市場は激しい混乱に見舞われている。CNNの公表する「恐怖と欲望指数」は直近で14と極端な恐怖を示している。市場参加者の多くが相場はどこで下げ止まるのか一喜一憂しているが、バンク・オブ・アメリカ(BofA)は「売りは始まったばかり」と警鐘を鳴らしている。


    ●恐怖と欲望指数
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    出所:CNNビジネス


    ではS&P500はどこで底打ちとなるのだろうか?BofAによると、過去140年間を振り返ると19回の弱気相場があり、その平均価格下落率は37.3%で、ピークから底打ちまでの平均日数は289日だったとしている。もちろん過去の実績は将来を示すものではないが、過去の経験則を当てはめるとすれば次の通りとなる。

    今年1月の高値4796をピークとすると、S&P500は3000近辺まで値下がりし、10月頃まで波乱の展開が続くことになる。ウォール街は2022年の大半を「インフレ・ショック」、「金利ショック」、「景気後退ショック」とともに過ごすことになりそうだ。


    ●米国株式市場における弱気相場の歴史(S&P500)
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    出所:BofA資料より筆者作成


    景気循環と株式の循環を比較し、世界金融危機(リーマンショック)時の前後にどのタイミングでどのセクターが買われたのかをまとめたのが次のチャートである。

    現在、エネルギー株が他のセクターに大きくアウトパフォームする展開となっている。もし世界金融危機時と同様に、エネルギーが買われたところが相場のトップであるとするならば、次に買われるセクターは「生活必需品」と「ヘルスケア」になる。

    ●世界金融危機時における景気循環と株式の循環
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    出所:筆者作成

    日経平均とナスダック100の売買シグナル(赤=買い・黄=売り)

    ●日経平均CFD(日足)標準偏差ボラティリティトレードの売買シグナル
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    ●日経平均CFD(日足)メガトレンドフォロートレードの売買シグナル
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    ●ナスダック100CFD(日足)標準偏差ボラティリティトレードの売買シグナル
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    ●ナスダック100CFD(日足)メガトレンドフォロートレードの売買シグナル
    20220620_⑨.png

    日々の相場動向については、

    ブログ『石原順の日々の泡』

    https://ishiharajun.wordpress.com/

    を参照されたい。


    石原順 プロフィール
    1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のデーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファン ドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市 場に参入し活躍する。
    相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当 する現役ファンドマネージャーとして活躍中。



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