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「マーケットの最前線」

2020年11月16日

第254回「この先の日経平均は?ラリー・ウィリアムズの日経平均予測」石原順

石原順 石原順

  • 政治的、社会的、経済的な末期状態に打つワクチンはあるのか?


    大統領、そして議会上下両院ともに民主党が抑えるブルーウェーブの可能性が低くなり、民主党バイデン氏の主要政策である法人税の増税や大手ハイテクへの規制強化、薬価引き下げといった株式市場への重しとなるようなリスクが後退しているとして、賞味期限付きのいいとこ取り相場が繰り広げられている。


    大統領選挙後は市場が最も嫌う不透明感が払拭されるため、過去のサイクルから見ても市場はしばらくの間、好調が続く傾向にある。しかし、現在の相場は、民主党が米国を「社会主義政策」で運営しようと思っていることを全く織り込んでいない。バイデンの健康状態にもよるが、ここから4年以内にカマラ・ハリスが大統領に昇格する可能性はとても高くなっている。そうなれば、米国経済はよくて「日本化」、最悪は「資本主義の巻き戻し的なクラッシュ」が想定される。


    民主党内には、特に税制政策に関して行動に移すことを求める圧力が存在している。カマラ・ハリスは、バイデン政権は初日に、トランプ政権による2017年の税制優遇措置である「税制改革法(Tax Cuts and Jobs Act)」を狙うとしている。

    この減税は株式市場にとって大変重要な意味を持っていた。ブルームバーグによると、「税制改革法」の制定から1年後、S&P500企業の利益は3四半期連続で20%以上も急増した。これは、金融危機が終わって以来なかったペースで、公開企業全体の利益は過去最高を記録した。


    バイデン氏は、法人税率を21%から28%に引き上げることを公約しているほか、最低賃金の引き上げにも意欲を示している。また、高所得者向けの長期的なキャピタルゲイン税率の引き上げも含まれている。


    市場は、議会が分裂したままの場合、バイデン氏の公約が失敗に終わる可能性が高いと見ているようであるが、もしバイデン氏の政策が実行された場合、2021年にはS&P500企業の利益成長率が半分近くにまで低下することも想定される。


    パンデミック以前から、米国経済には崩壊の芽がいくつも見られており、FRBによるQEインフィニティと言う「生命維持装置」なしでは動き続けることができなくなっていた。その結果として、膨大な債務が積み上がり、格差は拡大し、社会は不安定になった。



    ●経済全体に対する収入の割合は50年にわたり下がり続けている
    20201116①.png
    出所:ゼロヘッジ

    経済全体に対する収入の割合は、50年あまりに渡って低下し続けている。さらに、所得別に見てみると一握りのトップ層の所得の伸びと、ボトム90%の所得の伸びの格差は拡大し続けている。


    ●トップ0.1%層の所得は、ボトム90%層の所得の50倍の速さで伸びている
    20201116②.png
    出所:ゼロヘッジ


    現在の社会と経済は、富と権力を少数の手に集中させ、多くの人々に犠牲を強いるものとなっている。今週、米ファイザーが、独ビオンテックと共同開発している新型コロナウイルスワクチンの大規模治験で「90%を超える有効性が確認された」とする中間解析結果が発表され、市場は大いに賑った。その上昇に乗じて、ファイザーのCEOが自社株を売却していたことも明らかになった。道徳的、政治的、金融的な腐敗は隅々まで蔓延している。末期症状に瀕しているに政治的、社会的、経済的秩序にもワクチンが必要だ。

    米国にもマイナス金利がやってくる!

    ゴールドやビットコインは、FRBQEインフィニティ(無限大介入)やパンデミック下の負債急増(経済破綻の救済のための巨額の赤字支出)にそれなりに反応している。しかし、通貨の市場だけは不気味な沈黙を続けている。

    ドル/円に関して言えば、固定相場のようになってしまっている。目先の相場は米金利の上昇を受けてドルが買われているが、年間を通してみると、異常なほどボラティリティは低い。為替レートのボラティリティは通常、米国の景気後退時に大幅に上昇することを考えると、現在の安定性は驚くべき事態と言えよう。

    なぜ、このような事態が起こっているのか?FRBの社会主義政策、ドルスワップラインの寛大な提供、世界中の大規模な政府財政対応などが原因とされているが、本当の原因は金融システムが崩壊し、金融政策が国家管理になっているからだ。

    世界中金融政策が同じで、債券市場が国家管理となっているので、通貨はもう動かないという声もある。

    それに対して、マーク・ファーバーは次のように述べた。

    FRBが債券市場で大部分を爆買いした場合、理論的には資産価格は月に打ち上げられ、そこから最終的には地面すれすれで落ち着くだろう。債券市場が行き詰まると、価格調整で残る手段は唯一、米ドルの価値となる」(マーク・ファーバー)

    世界中の中央銀行が同様に緩和的な姿勢を示していることから、マイナス金利の債券の額は記録的な高水準に達している。今週、Bloomberg Barclays Global Negative Yielding Debt Indexの市場価値は17.05兆ドルと過去最高となった。


    原油価格がマイナスになることを指摘したグッゲンハイム・インベストメンツのCIOであるスコット・マイナード氏は、米10年債の利回りが2022年までにマイナス0.5%に反転する可能性があると予測し、これはマーケットに大きな影響を及ぼし、最終的にはFRBがリスクを負うことになる可能性があると述べた。

    「This time is different(国家は破綻する)」のケネス・ロゴフ氏は、プロジェクトシンジケートに「Calm Before the Exchange-Rate Storm(為替レートの嵐の前の静けさ)」を寄稿し、次のように述べている。

    現在の膠着状態が永遠に続くわけではない。相対的なインフレ率を調整した場合、広義のドルインデックスの実質値はほぼ10年間上昇傾向にあり、ある時点で(2000年代初頭に起こったように)おそらく部分的に平均値に戻るだろう。ウィルスの第二波は現在、米国よりも欧州を強く襲っているが、冬の到来とともにこのパターンはすぐに反転する可能性がある。また、米国には、被災した労働者や中小企業に切実に必要とされる災害救援を提供する莫大な能力が残っているが、グローバル市場における米国の公的債務や企業債務の割合が増加していることは、長期的な脆弱性を示唆している。

    特に、COVID-19の波が金融市場にストレスを与え、安全性への逃避を誘発するような場合はなおさらだ。為替レートの不確実性はさておき、2030年にはまだグリーンバック(裏面が緑色であったことから称されるアメリカのかつてのドル紙幣)が王様である可能性が圧倒的に高い。しかし、現在私たちが経験しているような経済的なトラウマは、しばしば痛みを伴う転換点となることを忘れてはいけない。


    焦ることはない。大きな世界的なマクロ経済の不確実性の環境では、為替レートは大きく変動するはずである。中央銀行は神様ではない。人間がやっているので、相場操縦には必ず限界が来る。どのような操縦であれ、これまで市場メカニズムによって完全に打ち砕かれてきたからである。



    ラリー・ウィリアムズの日経平均予測

    米著名投資家のラリー・ウィリアムズは、先週、25000円~25200円レベルでいったん利食いすることを推奨していたが、この先も基本的に日経平均の上昇相場を想定しているようだ。

    これまでも述べてきたように、日本は株式市場の中で最も強い状態が続いています。日経平均は強い状態が続いて、この先、市場間予測の手法は本当に信じられない形になっています。

    では、そんなに強くなるのか?いや、おそらくならないでしょう。これらはファンダメンタルズの予測であることを忘れないでください。必ずしもトレンドの強さが分かるわけではありません。しかし、タイミングはかなり良いのではないでしょうか。マグニチュードは参考までに示されています。

    日本の友人のための戦略は?

    簡単です。ここにいくつかの目標がありました。すでに利益を確定したのであれば、それは素晴らしいことです。過去●日間の最安値のストップについては話をしましたが、ここでより注意したいのであれば、過去 ● 日間の最安値でも良いと思います。しかし、市場は上昇に向かって暴騰しています。なので、しっかりとストップをいれて、良い時を逃さないようにしてください。

    どこまで上がるか誰が知っていますか?私にはわかりません。誰にも分からないと思いますが、トレンドは上昇しています。トレンドが上昇しているときは、できるだけ長く持ちこたえたいものです。どうやって?タイトなストップを使うだけです。

    ●ラリー・ウィリアムズの日経平均予測
    20201116③.png
    出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV20201113日 ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。

    日々の相場動向については、

    ブログ『石原順の日々の泡』

    https://ishiharajun.wordpress.com/

    を参照されたい。

    石原順 プロフィール
    1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のデーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファン ドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市 場に参入し活躍する。
    相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当 する現役ファンドマネージャーとして活躍中。

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