マーケットレポート

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「マーケットの最前線」

2020年10月12日

第249回「GAFAは大丈夫か!?富の偏在という株式市場と社会の歪み・ラリーの日経平均予測」石原順

石原順 石原順

  • 10月15()に米国株セミナーを開催

    10月15()19時から米国株セミナーを開催します。

    『米国株投資のポイント』

    講師:石原順

    これからGAFAMはどうなる?見切りをつける銘柄は・・?

    今後の相場見通しや注目株について60分。質問コーナーも予定。

    ぜひ、ご参加ください。

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    政治的なプレッシャーに直面する巨大IT企業

    米議会下院の司法委員会は6日、巨大IT企業に対する反トラスト法(独占禁止法)の調査報告書を公表した。GAFA(グーグルGOOGL、アップルAPPL、フェイスブックFB、アマゾンAMZN)の4社について、経済社会において基盤インフラとして重要な役割を果たしていると認める一方、4社は過去10年間で数百社を買収しており、この大量の買収によってデジタル市場で独占的な支配力を享受していると指摘。企業分割を含む規制強化を求めたものである。

    これに先立つこと7月末には、4社の経営トップが一同に出席し、同委員会による公聴会が開かれていた。議員らは各社が圧倒的な力でライバル企業を制圧し、公正な競争を阻害していると非難、反トラスト法(独占禁止法)の規制強化に言及した。米カリフォルニア大学ロサンゼルス校のブレット・ホレンベック助教授は当時、「公聴会は始まりにすぎない。規制強化の流れは選挙で民主党がどの程度の議席を確保するかによる」と指摘していた。

    今回の報告書は野党・民主党議員によってまとめられたもので、法的な拘束力はない。一方、与党の共和党では大胆な改正案に異議を唱える声もあり、立法化につながる可能性は現時点では高くないため、政治的なパフォーマンスとも言える。しかし、1ヶ月弱後に迫った米大統領選挙において民主党候補のバイデン前副大統領が勝利した場合、話は少し変わってくる。

    バイデン氏はかねてより、巨大テクノロジープラットフォーマーは独占的な地位を乱用していると述べていた。もしバイデン政権が誕生し、民主党が上下両院で過半数の議席を獲得し、米議会におけるねじれ状態が解消されれば、規制の流れは一気に加速する可能性もありそうだ。

    また、フォーチュンの記事「Joe Biden wants to end the era of big companies paying nothing in taxes(ジョー・バイデンは大企業が何も税金を払わない時代を終わらせたがっている)」によると、バイデン氏は、法人税率を現在の21%から28%に引き上げることに加えて、企業の「簿価所得」、または投資家に報告された利益に15%の最低税を設定するなど、米国の大企業が合法的な抜け穴を利用するのを防ぐための法人税法変更を提案している。

    さらに、米国企業によって報告された外国での利益に対する税率を既存の10.5%から21%に倍増することも考えており、2017年にトランプ政権が米国の法人税法を大幅に見直したことを事実上覆そうとしている。これは、おそらくアマゾンのように、税制を自分たちに有利な方法で使い、巨大な収益を上げる時代に終止符を打つだろうと記事ではまとめている。

    ●テクノロジー企業は反トラスト法の動きに対してロビー活動を積極化している
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    出所:statista


    ハイテク各社はワシントンにおけるロビー活動に巨額の資金を注ぎ込んでいるが、強大な力を持ち今や帝国レベルとも言える規模にまで成長したハイテク企業に対して、政治的なプレッシャーが強まりつつある。言い換えれば、政治的なプレッシャーに直面するほど、彼らの存在は強く、大きく、そしてなくてはならないものになっていると言うことでもあろう。

    株式市場における歪みは社会における歪み、それでもハイテク企業は止められない?


    好調なパフォーマンスをご覧頂ければわかるとおり、今や米国市場は5銘柄そのものになっている。5銘柄の時価総額がS&P500市場に占める割合は2割を越え、2000年を上回りかつてない水準まで高まっている。(なお、2000年当時の5銘柄はマイクロソフト、GE、シスコ、インテル、ウォルマート)

    S&P5001%に過ぎない5銘柄が、時価総額では市場の20%を占めている
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    出所:ゼロヘッジ

    しかし、こうした過度な集中には脆さも伴う。ハイテク企業の業績は今のところ向かうところ敵なしといった状況ではあるが、市場にもたらされた需給の歪みが修正されるタイミングがいつかはやってくるだろう。以前より指摘しているように今は長期で株を買うタイミングではない。短期で機動的なトレードを心がけたい。

    2000年のハイテクバブル期、1990年と2008年の景気後退に先立っても一部銘柄への過度な集中が起きていた
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    出所:ゼロヘッジ

    この株式市場における歪みは何を映し出しているのか。それは、社会における富の集中や分断であろう。世界の富の大部分をごくわずかな数の富裕層が独占しており、その他大多数との格差が拡大していることはよくご存知だろう。株式市場でハイテク5社に資金が集中していることが意味するのは、デジタル社会においては富の偏在、格差の拡大がさらに加速すると言うことである。

    現在、世界的にテクノロジーをめぐる熾烈な競争が起きている。テクノロジーは国家の安全保障にもつながっているからだ。政府がハイテク企業に対する規制を強め、その企業の競争力を削ぐことは、翻って自国の利益を毀損することにもなる。規制強化の流れはあったとしても、ハイテク企業を根本から潰してしまうようなことは政治的には決して出来ないだろう。テクノロジーは米国の競争力の屋台骨なのである。

    1998年に独占禁止法の疑いでやり玉に挙げられたマイクロソフトは、結局、分割されなかった。今回の巨大IT企業に対する反トラスト法(独占禁止法)の問題は、ハイテク企業が富の偏在の象徴として、狙い撃ちされているのである。

    富の偏在は、暴落・暴動・革命などによって、体制の変化を促す。米国の金持ちトップ50人の資産は2兆ドルで、下位50%の16500万人分に匹敵するという。

    「カネは天下の回りもの」とは、よくいったものだ。カネは回さないといけない。歴史大局観的に言えば、富の偏在は危機のシグナルである。

    ラリー・ウィリアムズの日経平均予測

    米著名投資家のラリー・ウィリアムズは今週のラリーTVで、「市場がレンジの下方向に戻ってきて、買いシグナルが出てくることを期待しましょう。日経に大きな動きがくると思いますが、まだその時期ではありません」と、述べている。

    ●ラリー・ウィリアムズの日経平均予測
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    出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV20201012日 ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。

    ●日経平均(日足)順張りの標準偏差ボラティリティトレードモデル
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    日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』

    https://ishiharajun.wordpress.com/

    を参照されたい。

    石原順 プロフィール
    1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のデーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファン ドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市 場に参入し活躍する。
    相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当 する現役ファンドマネージャーとして活躍中。

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