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「マーケットの最前線」

2020年10月 5日

第248回「チップが尽きたらゲームは終わり:伝説の投資家ポール・チューダー・ジョーンズの投資ルール」石原順

石原順 石原順

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    大統領選のテレビ討論会はプロレスVS補聴器のエンターティーメント


    米国大統領選挙に向けた第一回テレビ討論会が開かれた。トランプ大統領が民主党候補バイデン氏の発言中に何度も割り込み自身の主張を展開するなど、CNNテレビの記者は「これは討論会とは言えない。ひどいディベートだった」「勝者はいない。負けたのはアメリカ国民だ」と酷評した。

    またこのテレビ討論会の最中に、グーグル検索で「カナダへの移住」を調べた人が急増したと言う。中傷合戦に終始した討論会に失望した人が相次いだのではないかと、米メディアで話題になっている。グーグルによると、「カナダへの移住」「カナダ国籍を申請する方法」などの検索数が急激に増えたそうだ。これは、4年前の2016年、トランプが大統領選に勝利した際にも同じことが起きたと記憶している。

    筆者は巷の報道のように、1回目の米大統領選のテレビ討論会でバイデンが優勢になったとは思っていない。

    トランプ)ジョー、お前の党は社会主義に走ろうとしているぞ!お前の息子は薬物使用で軍を除隊になった。

    バイデン)いいかげんに黙らないか。せいぜいほえ続ければいいさ・・。

    まるで、プロレスのマイクパフォーマンスのようなバイデンとトランプの非難の応酬で、「史上最悪の討論会」などと言われているが、テレビ討論会を退屈な予定調和にせずに、大衆受けするエンターティーメントをやろうとトランプは考えているのだろう。補聴器に操られたバイデンの話は中身がなく、トランプの話はわかりやすい。

    ●補聴器疑惑のバイデン
    20201005①.png

    出所:石原順Twitter

    まるで、プロレスのマイクパフォーマンスのようなバイデンとトランプの非難の応酬で、「史上最悪の討論会」などと言われているが、テレビ討論会を退屈な予定調和にせずに、大衆受けするエンターティーメントをやろうとトランプは考えているのだろう。補聴器に操られたバイデンの話は中身がなく、トランプの話はわかりやすい。

    米大統領選の結末について運用者や政治評論家に聞いても、だれもが予測不可能だと述べている。米国の大統領はトランプの言うように、「最高裁」が決めることになるかもしれない。

    これから大統領選挙までの45週間、米国株式市場はボラティリティの荒い動きになりそうだ。ゼロヘッジの記事「Morgan Stanley: Brace For A Very Difficult Trading Environment In The Next 5 Weeks(モルガン・スタンレー:今後5週間は非常に厳しい取引環境に備えるべき)」によると、モルガン・スタンレーはいくつかの理由が複合的に存在し、金融市場にとって不確実性がこれほど高くなったことはめったにないと指摘している。

    その理由とは4つ、以下の通りである。

    米国は財政の崖に直面している。議会が選挙期間中の政治に巻き込まれ、最高裁判事の空席を埋めるか論争に取り込まれているため、11月3日までにコロナウイルス支援・救済・経済安全保障法(CARES)2が可決される可能性は大幅に低下していることが第一点目。

    第二に、COVID-19第2波の到来が迫っているということ。これまでのところ、欧州では第二波の影響が大きくなっているが、今年の秋から冬にかけて米国やその他の地域に第2波がやってきそうだ。そしてそれがどのようなものかを正確に知るまでは、米国での更なるロックダウンは、特に米国の選挙の結果を決定する役割を果たす可能性があることを考えると、現実的なリスクであることに変わりない。

    第三として、実質長期金利が底を打ったように見えるということ。FRBが夏の間ずっとイールドカーブ・コントロールについて言ってきたことを金利市場が受け入れたようだ。

    そして最後に、選挙そのものと、結果だけでなく、その妥当性と確定的な結果のタイミングをめぐる不確実性がある。2020年は控えめに言っても異常な年である。


    ●S&P500200日移動平均線
    20201005②.png

    出所:ヤフーファイナンス

    ●ナスダックと200日移動平均線
    20201005③.png

    出所:ヤフーファイナンス

    このように選挙のプロセスと結果に関する不確実性が特に高まっていることを考慮すると、今後45週間はボラティリティが高い状態が続き、難しい取引環境になると言うのである。S&P500Nasdaq100でそれぞれ200日移動平均線がターゲットとしており、それぞれ約7%と10%程度の下落となる。

    その一方で、選挙結果に対する不確実性が払拭された後、どちらが大統領になろうと株式市場は短期的に強気相場が展開されると見ている。

    ビジネスインサイダーの記事「A bull market will boom no matter the president -- but skew your portfolio based on who wins, Morgan Stanley's investment chief says(強気市場は大統領に関係なくブームになる - しかし、誰が勝つかによってあなたの所有するポートフォリオを歪める、とモルガン・スタンレーの投資チーフは言う)」によると、同じくモルガン・スタンレーは、選挙後、誰が大統領になろうと、短期的には市場にとって好都合な景気刺激策の法案が提出されると予想されるため、強気の相場が展開されるだろうと語った。

    チーフ投資ストラテジストは、「政治家たちは最終的には屈服せざるを得ない」とし、選挙の前か直後に別の景気刺激策を発表するだろうと。また、市場はこのことを知っており、選挙の結果は短期的には重要ではないと考えている。「われわれはまだ不況の中にいる。パンデミックに陥っている。共和党、民主党どちらにとっても、これらの事実から逃れることは非常に難しいだろう。つまり、それが意味するのは、議会からより多くの支出を得るということだ」と語った。

    しかし、長期的に見れば選挙結果は政策に多大な影響を持つため、セクターレベルでの見極めも重要になる。民主党が勝利した場合、金融・エネルギー株は規制強化に直面する可能性があり、他のセクターと比較してパフォーマンスが低下する可能性があると言う。一方、テクノロジー株は、民主党のテクノロジー規制がそれほど厳しくないと考えているため、一部の予想よりも悪い結果にはならないかもしれないとしている。

    チップが尽きたらゲームは終わり:ポール・チューダー・ジョーンズの投資ルール


    ここから大統領選挙まで難しい相場展開になるとしたら、ことさら投資をする上でのルールの重要性が再認識される。ゼロヘッジの記事「Navigating Q4 2020: Paul Tudor Jones' 10 Investing Rules2020年第4四半期をナビゲート:ポール・チューダー・ジョーンズの10の投資ルール)」から、グローバルマクロのトレーダーとして大成功を収めた伝説の投資家ポール・チューダー・ジョーンズの投資ルールを学んでみよう。

    ルールその1:敗者から早めに手を引き、勝者を走らせる


    市場をうまくナビゲートするには、とてつもなく謙虚さが必要だ。投資が思うように進まないときに、傲慢になることはない。大きなエゴに悩まされている投資家は、間違いを認めることができないか、自分たちがこれまでに生きてきた中で最も重要な株式投資家だと信じている。市場を生き抜くためには、自信過剰にならないようにしなければならない。

    ●「私たちが資本主義を見直すべき理由」ポール・チューダー・ジョーンズ TED2015
    20201005④.png
    出所:TED


    ルールその2:具体的な最終目標を持たずに投資するのは大きな間違いである


    投資をする前に、以下の2つの質問の答えを知っておく必要がある


    1 自分の考えが正しければ、どのくらいの価格で売るか、利益を取るか?
    2 間違っていたらどこで売るのか?


    希望と欲は投資のプロセスではない

    ルールその3:感情的・認知的バイアスはプロセスの一部ではない


    投資(と財務)を以下に基づいて意思決定をスタートさせると悪い経験をするために自分自身を設定している


    私は次のように感じている
    友人に言われた
    聞いたことがある
    願わくば・・

    ルールその4:トレンドに従う


    ポートフォリオのパフォーマンスの80%は根本的なトレンドによって決定される

    ルールその5:利益を損失に変えてはいけない


    投資とは、時間をかけてリターンを生み出すことである


    ルールその6:テクニカル分析がファンダメンタルズ分析をサポートすると、成功する確率が大幅に向上する


    市場は長い間ファンダメンタルズを無視することができる。投資すべき「いつ」を決定するためにテクニカルを適用することで、リターンを大幅に改善し、資本リスクをコントロールすることができる


    ルールその7:負けているポジションに追加しないようにしよう


    ポール・チューダー・ジョーンズはかつて、「敗者だけが敗者に追加する」と言った。「アベレージングダウン(株価の低い時に買って平均取得価格を下げる:ナンピン買い)」のジレンマは、より収益性の高い投資に資本を再配置するよりも損失を回復しようとし、投資資本のリターンを減少させる。敗者(値下がり株)をショートにすることで、長期的にはより大きな成長を可能にする。

    ルールその8:強気市場では「ロング」であるべき。ベアマーケットでは「ニュートラル」または「ショート」


    市場の主要な「トレンド」に逆らって投資することは、一般的に実りのない、もどかしい努力だ。世俗的な強気市場の間 - 株式のようなリスク資産に投資したままにするか、勝者を切り捨てる継続的なプロセスを開始する。弱気相場の間は、投資家は、目標とする資産配分に戻って、全体的なリスク資産の保有を減らし、現金を構築することを検討することができる。底打ちしたと信じて押し目を買おうとする試みや株式はこれ以上下落しないと思って購入することは一般的にうまくいかない。

    ルールその9:リターンではなく、リスクを第一に考えて投資する


    リスクを第一に考える投資家は、強欲の餌食になる可能性が低い。私たちは、投資の潜在的なリターンを重視し、それを達成するために取ったリスクを余計なものとして扱う傾向がある。責任あるポートフォリオ管理の目的は、長期的にお金を成長させて特定の財務上のマイルストーンに到達し、それらの目標を達成するために取られるリスクを考慮することだ。ポートフォリオの大幅なドローダウンを防ぐための管理とは、ダウンサイドの大部分を捕捉することを防ぐために、アップサイドの一部を放棄することを意味する。ポートフォリオが壊滅的な損失を被っても、ポートフォリオはいつか元の状態に戻るかもしれないが、その間に失った貴重な時間は決して取り戻すことはできない。

    ルールその10:ポートフォリオ管理の目標は70%の成功率


    メジャーリーグの打者は40%の成功率で「殿堂入り」する

    いつでもうまく行く戦略、規律、またはスタイルはない。投資家のハワード・マークスは「投資における最大のエラーは、情報や分析と言った要因からではなく、心理的であるものから来る」と述べている。つまり長期投資リターンを最大化させるドライバーは心理的な投資ミスを最小化することなのである。

    また、「資産保有者が売却を余儀なくされているときに絶対的に最高の買いの機会が来る」とも語った。投資家は「感情」を手放すことから始まる。歴史上の偉大な投資家に共通していたのは、投資に内在するリスクの管理だ。チップが尽きたらゲームは終わり、である。

    ラリー・ウィリアムズの日経平均予測

    米著名投資家のラリー・ウィリアムズは、日経平均について、

    「日本の取引所が閉鎖しても不思議ではありません。結局のところ、何が起こったかを見てください。何も起きていません。ただ、この巨大な横ばい市場は 8 月からではなく多分 7 月から続いて、マーケットは行ったり来たりしています。トレード戦略は、大きなブレイクを買い、大きな上げで売ることを続けるだけです。これは非常に効果的な戦略で、今月後半までは継続すると思います。その後、より強い季節的なパターンがやってきます。ただ、今のところ、まだ売買レンジ相場なので、この市場で大きな動きはありません。待つしかありません。トレーディングなので、市場に応じたトレードをしてください。」

    と、述べている。

    トランプの新型コロナ感染で乱高下しているが、結局、レンジを脱する動きにはなっていない。が、大統領が決まるまでは、乱高下相場となるだろう。

    ●ラリー・ウィリアムズの日経平均予測
    20201005⑤.png
    出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV2020105日 ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。


    日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』

    https://ishiharajun.wordpress.com/

    を参照されたい。



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    ●米大統領選挙年のサイクル
    20201005⑥.png
    出所:エクイティクロック

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    石原順 プロフィール
    1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のデーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファン ドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市 場に参入し活躍する。
    相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当 する現役ファンドマネージャーとして活躍中。

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