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「マーケットの最前線」

2021年5月 6日

第242回「不穏な1999年の気配が漂う市場・S&P500のシーズナルパターン」

石原順 石原順

  • 1999年の気配

    トビアス・レブコビッチ(2001年からCitiで米国株式戦略のチーフを務める)が執筆した論文をフィナンシャルタイムズが紹介している。それによると、現在の市場には、1999年の気配が漂っているという。

    彼の指摘を確認してみよう。

    株式市場にとって、現在の状況と1999年当時の状況との類似性は顕著であり、憂慮すべきものだという。

    昨年11月には、有効性の高いワクチンのニュースが、悲劇的なパンデミックのトンネルの終わりに芽生えた光として気分を高揚させ、市場における投資家のムードは活気に満ちたものになった。

    ●シティグループの「パニック・ユーフォリア・モデル」
    20210506①.png
    出所:シティグループ・フィナンシャルタイムズ

    上のチャートは、シティグループが開発した投資家心理の指標である「パニック・ユーフォリア・モデル」のシグナルである。株価下落を予想する投資家のポジションの量、証券購入のための資金の借入額、商品価格先物などを考慮したものだ。

    以下はトビアス・レブコビッチの論文からの抜粋である。

    このような明るい時代の流れが、すぐに株式市場の調整を伴わなかったのは、ドットコムバブルが満開だった1999年以来のことだ。

    過去の例では、このように高い水準にある場合、100%の確率で今後12ヶ月間の株価が下落することを示している。現在、米国では、財政刺激策や企業の再開などにより、力強い経済成長が期待されているにもかかわらず、こうした状況になっている。

    「今回は違う」という考え方は、様々な機関投資家の会話の中に見られる。柔軟な対応をするFRB、大量の消費者貯蓄、多額のフリーキャッシュフロー創出、強力な政府支出、実質債券利回りがマイナスとなったサイドラインにある資金などが、2020年の安値から90%近く上昇した後も上昇を維持できると言われている材料だ。

    最近の大幅な株式流入の回復は、プロの資産配分担当者の「fomo」(乗り遅れることに対する恐怖)による株の上昇をもたらしている。つまり、「fomu」(意味のあるアンダーパフォームへの恐れ)だ。トレンドフォローや「テープを追いかける」という要素もある。

    しかし、米国の家計部門の金融資産に占める株式の保有率は50年ぶりの高水準であり、その結果、米国人が投資不足であるとは言い切れない。

    3月下旬に実施したマネーマネージャーへのアンケートによると、運用資産に占めるキャッシュの割合の中央値は、前年の10.0%から3.5%に低下し、過去の平均値である5.0%を下回っている。このように、ほとんどの投資家はすでに投資を始めているようだ。

    S&P 500種構成企業の今年の収益は、ボトムアップのコンセンサス予想では20%増の1株当たり174ドルとされているが、GDPの急成長が予測されることや、コロナウィルスに関連した操業停止期間中に経営陣が行ったコスト効率化の取り組みなどを考慮すると、アップサイド・サプライズがあるとの見方が多いようだ。さらに、株価は一株当たり190ドルに近い30%前後の成長を織り込んでおり、失望する余地はほとんどないと考えている。

    また、法人税の増税によって業績拡大理論が阻害される可能性があるにもかかわらず、すべて好材料として扱われている感がある。

    市場の方向性を変えるきっかけやタイミングを見極めるのは難しいことだが、脆弱性は存在するため、今はラリーを追いかけるのは賢明ではないと思われる。

    投資家は、いわゆる成長企業からより割安な株式へのローテーションを考慮する必要がある。S&P500指数の時価総額のうち、成長企業が占める割合は55%にものぼるが、循環セクターや金融セクターのバリュー株は30%にも満たない。そのため、指数全体では重量差のために多少(最大10%)下落する可能性があるが、それでもストックピッカーは健闘している。

    なお、今年の第1四半期には、S&P500の構成銘柄の約33%が10%以上市場を上回っており、ポートフォリオを左右するのは一部の銘柄だけではないことがわかる。さらに、昨年の第4四半期には、37%が同様の結果を出している。このような状況下では、インデックスというよりも、その中の銘柄が重要なのだ。

    このような説得力に欠ける背景から、私たちは、(人件費や原材料費の高騰を相殺するような)価格決定力を持つ企業や、強固なバランスシートを持ち、平均よりも高い配当利回りを実現している企業に注目することが最善であると考えている。

    当社の投資アプローチにはプロシクリカル・バイアスがある。特に、資本財、金融、レジャーを含む分野を好んでいる。後者については、予防接種によって人々がより自由に動けるようになり、今までできなかった活動に没頭できるようになることで、爆発的な需要が生まれるはずだ。

    S&P500指数はしばらく横ばいか?

    以下は「シーズナルパターン分析」の権威であるジェフリー・ハーシュが発表しているS&P500のシーズナルパターンである。

    ●1950年以降のS&P500のシーズナルパターン
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    出所:トレーダーズ・アルマナック(パンローリング有料レポート)

    上の表は S&P 500 のシーズナルパターンに 1 月から 4 月までの上昇率が 10%を超えた年と重ね合わせたチャートだが、2021 年もマーケットが季節性に沿った動きをしていることを強調している。上昇幅は過去の基準を大きく上回っているが、2 月後半と 3 月後半の弱さ、そして 4 月の堅調さは、典型的な季節的な市場行動を象徴している。

    市場は、これまでの長期的な上昇を受けて、一旦停止してプルバックするのに適している。テクニカル的には、各指数のチャートは上値の重い展開になっている。フォローしているナスダック 100(NDX)のチャートでは、NDX が 13,900のレジスタンス付近で失速している。下の「Pulse of the Market:マーケットの脈拍」で述べたが、市場内部の動きも横ばいのように見える。

    日経平均株価の売買シグナル(赤=買い・黄=売り)

    ●日経平均(日足)標準偏差ボラティリティトレードの売買シグナル
    320210506③.png

    ●日経平均(日足)メガトレンドフォロートレードの売買シグナル
    320210506④.png

    日々の相場動向については、

    ブログ『石原順の日々の泡』

    https://ishiharajun.wordpress.com/

    を参照されたい。

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