マーケットレポート

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「マーケットの最前線」

2020年3月23日

第221回「ワイドなレンジとボラティリティがいつまで続くのか?というラリー・ウィリアムズの疑問」石原順

石原順 石原順

  • 1929年の大恐慌に次ぐ下落局面

    この1ヶ月にわたる米国市場の調整は歴史的なものであった。以下のチャートにあるように、過去の弱気相場と現在の弱気相場の直近の高値からの調整割合とその日数をプロットすると1929年の大恐慌に次ぐ下落局面であったことがわかる。


    ●弱気相場における調整日数と下落割合
    ①20200323.jpg
    出所:ゼロヘッジ

    連銀がどんなにカネを撒いても短期金融市場の動揺は収まらず、中期ゾーンの金利がおかしな動きをしている。FRBが緊急利下げを行い、日銀もETF買いの増額に動き、ECBも緊急量的緩和の導入を発表したが、砂漠に水を撒いているような効果しかでていない。


    なぜ、効果がないのか?それは、イエレン元FRB議長、バーナンキ元FRB議長、ボストン連銀のローゼングレン総裁が、「利下げと債券購入ではリセッション(景気後退)対応措置として不十分であり、株の下げが止まらない場合は、(日銀の真似をして)ETFを買うべきだ」と発言しているからである。

    すなわち、市場は上げ下げを繰り返しながらも株価の下落が止まらない場合、最終的に市場は「連銀によるETF買い」を催促してくるのである。過去の緊急利下げが失敗しているのは、金融当局が催促相場に追い込まれているからだ。

    ●NYダウとPPT(下落防止チーム)の動向
    ②20200323.jpg

    こうした事態を受けて、「議会がFRBに社債(企業債務)や株式を購入できるように法改正をする」という噂がウォール街で出回っている。市場の催促により、米財務省とFRBが共同で新世代の緊急融資プログラムを立ち上げるのも時間の問題かもしれない。

    "Whatever it takes"が十分でなくなるとき


    今後、株式市場はどう動いていくのか。前述したように現在の米国株の動きと1929年の動きが似ているとするならば、歴史を振り返ればシンプルだ。1929年当時、大幅調整の後、いったん反発する局面もあった。しかし、元の高値の水準には到底及ばず、結局、下値を切り下げながら、大幅に下落することになる。
    ③20200323.jpg


    出所 ゼロヘッジ


    大統領選挙を11月に控え、再選を目指しているトランプ大統領にとっては株価の上昇が彼の成果であった。株式市場の急落は再選への痛手となる。トランプ政権は新型コロナウイルスの感染拡大による経済的影響を緩和するために、最大12000億ドル(約130兆円)の景気対策案を打ち出した。すでにそれが2兆ドル規模に拡大されるとの報道も出ている。

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    2000億ドルの景気刺激策は米国経済の5.5%に相当する。この対策の中には、国民1人あたり1000ドルの小切手を支給する案も含まれている。一気に危機を打破したいところであろうが、敵は目に見えないウィルスである。

    雇用への影響も避けられない。非常事態宣言が出された13日以降、レイオフや解雇の動きが強まっており、失業保険申請件数が大幅に増加している。また、中西部オハイオ州では19日、失業給付を求める人が一日だけで3万3千人に達し、1週間前(990人)と比べ、30倍超のペースで雇用情勢が悪化している。また、コロラド州では失業保険の申請件数が「前例のないほど」急増し、同州労働局のウェブサイトがダウンした。また、セントルイス連銀のブラード総裁は、第2四半期の失業率が30%に高まり、GDPは50%落ち込む可能性があるとコメントした。

    「Whatever it takes(やれることは何でもやる)」は去年10月にECB総裁を退任したドラギ氏の言葉である。緊急利下げによって政策金利をゼロまで引き下げ、QE4を再開、加えて1兆ドル規模の大胆な財政支出を行なう当局に、あとどれだけやれることが残されているのだろうか。「Whatever it takes(やれることは何でもやる)」が十分ではなくなる時はそう遠くないのかもしれない。

    ダウ平均から米国株式市場を概観

    2月12日にダウ平均が史上最高値を更新して以降、大幅な下落が続いており、足元では2万ドルを割り込む水準となっている。ダウ平均は米国を代表する株価指数ではあるが、わずか米国企業の30社から構成されており、果たしてこれが米国企業の実態を表す指数として適切なのかどうかについては様々意見もある。

    一方、1928年に構成銘柄が30銘柄となって以降、時代の変化に合わせて構成銘柄を入れ替えており、2018年に当初からの構成銘柄であったゼネラル・エレクトリック(ティッカー:GE)が除外されて以降、算出開始時から構成銘柄として残っている企業は姿を消した。

    今回、このダウ平均を9つのセクター(ヘルスケア、エネルギー、生活必需品、通信サービス、情報技術、一般消費財、金融、資本財、素材)に分けて分析したブルームバーグの記事から、ダウを通して見た米国株式市場の現状を探ってみたい。なお、株価や指数の上下に関しては、ブルームバーグの記事と同様3/16時点であることをご了解頂きたい。

    ●2020年のダウ平均、歴史的高値から歴史的急落までの過程
    ④20200323.jpg



    最高値からの指数下落幅は8,300ポイントあまり、下落率は約30%である。アップル(ティッカー:AAPL)やボーイング(ティッカー:BA)など、値がさ株の下落の影響が大きいことが指摘できる。しかし、ボーイングに至っては、コロナウイルスの発生に関連した受注のキャンセルと言ったトラブルだけではなく、昨年起きた737 Max機の事故の影響も大きく、個別企業の抱える問題でもあり、指数を大きく引き下げる要因となっている。


    ●ダウ構成銘柄の変動幅と変動率、ダウ平均への寄与度
    ⑤20200323.png




    ラリー・ウィリアムズの米国株式市場見通し

    米著名投資家のラリー・ウィリアムズは、現在の株式市場の常軌を逸したボラティリティについて、「最大の疑問は、ワイドなレンジとボラティリティがいつまで続くのか、と言うことです。その回答を求めて過去データをチェックしました。1998 年までさかのぼり、何週間、平常に戻るまで掛かったのか調べました。過去 20 年間、パニック売りのあと平常に戻るまで約 8 週間掛かっています。2週間前から 8 週間をカウントすると、残り 6 週間で平常に戻るでしょう」と述べている。

    ●パニック売りはどこで収まるのか?
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    出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV2020323日 ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。

    日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』

    https://ishiharajun.wordpress.com/

    を参照されたい。

    石原順 プロフィール
    1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のデーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファン ドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市 場に参入し活躍する。
    相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当 する現役ファンドマネージャーとして活躍中。

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