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「マーケットの最前線」

2020年2月10日

第215回「新型肺炎でNYダウと原油の相関が崩壊!強烈なETF買いは弱気相場の前兆なのか?」石原順

石原順 石原順

  • NYダウと原油の相関が崩壊

    先週のレポートで、「逆説的に言えば、コロナウイルスの流行が経済的サプライチェーンの崩壊と経済的荒廃をもたらしたとしても、むしろFRBのセーフティネットが大きな売りを防ぐことを意味している。これは、『ニューアブノーマル』という奇妙な逆さまの世界であり、『ニューアブノーマル』相場では危機が起こるたびに相場が上がっていく」というニューアブノーマル相場を取り上げた。

    モルガンスタンレーが「市場の修正が始まった。しかし、Fedはそれを5%に保つだろう」と予想していたように、NYダウは4%下落後に反転している。NYダウの下げは4%ですんだが、原油は高値から21%も下げている。米国では新型コロナウイルスよりインフルエンザの大流行で死者が増えているが、あまり話題になっていないのは、人は未知のものに恐怖を抱くのであって、知っているものには恐怖を感じないからだ。いずれにせよ、世界景気後退懸念は株価でなく原油などの商品相場が織り込んだ形となっている。日経平均やNYダウと連動性が高い原油相場だが、これほど大きく動きが乖離(かいり)したのは久しぶりである。株と原油のどちらかが間違っているのであろう。


    ●NYダウ(青)とNY原油先物(赤)の日足の推移
    ①NYダウ(青)とNY原油先物日足 20200210.png

    ●ナスダック総合指数(日足)
    ②NASDAQ日足 20200210.png

    ●テスラ(週足)投機筋の買戻しとカネ余りでテスラが大暴騰
    ③TSLA週足 20200210.png


    中国の18兆円バズーカ砲

    現時点では、相場の下げを止めたのは米国のFRBではなく、中国の人民元行である。中国人民銀行(中央銀行)は2月2日の声明で、春節休暇明けの2月3日にリバースレポの公開市場操作を通じて1兆2000億元(約18兆円)を金融市場に供給すると発表した。新型コロナウイルスによる肺炎の感染が拡大する中、ミンスキーモーメント(パニック売りによる流動性パニック)を回帰するため市場に潤沢な流動性を供給した。株価のPKOや銀行が企業に貸し渋りや貸しはがしの防止が狙いである。また、中国は相場下落を緩和するため、先物市場の夕方の取引を3日から停止し、中国証券監督管理委員会はファンドに対して「株式を売り越さないように指導した」と報道されている。噂では保険大手が春節明けに100億元の株式買い入れを実施したらしい。


    ●上海総合指数(日足)順張りの標準偏差ボラティリティトレードモデル
    ④上海総合指数(日足)標準偏差VM 20200210.png

    景気サイクル(景気後退)は中央銀行が金融緩和、政治家が財政出動で対処するので、市場から合理性が失われ、「今後も株式市場は記録的な上昇をするのではないか?」という楽観的な意見が多い。現在、FRBは月額600億ドルを購入しており、その期限が切れる「6月までは全部買いだ!」との強気意見が圧倒的だ。

    実際、貸借対照表の資産の累積は新記録となっている。2002年以来、FRBのバランスシートは445%増となり、&P500指数の総合リターンは404%増となった。国家管理下の人為相場だが、レバレッジの増加によって促進される成長は決して持続可能ではない。それでも、その持続不可能な金融政策は、それが終わると誰にも受け入れられない結果が待っているという単純な理由から『ニューアブノーマル』相場継続している


    強烈なETF買いは弱気相場の前兆なのか?

    ご存知のように、米国ではアクティブファンドへの資金流入がすでに数年前から流失へと転じており、インデックスに連動したパッシブファンドへの資金流入が増えている。このため多くのヘッジファンドが苦境に立たされており、閉鎖を余儀なくされる欧米老舗ファンドも少なくない。クオンツをもとにした株式調査を行うMAP SIGNAL社によると、足元でETFへの資金流入が2018年1月の買い越し額と同じ水準まで拡大していると言う。2018年には大きな世界同時株安が二度起きた。一度目は2月の「VIX指数ショック」、二度目は10月に米国の長期金利が上昇したことを背景に株価が大きく調整した。

    以下のチャートは、S&P500指数にETFの買い越し(緑の棒グラフ)と売り越し(赤の某グラフ)を示したものである。


    ●S&P500指数とETFの買い越し(緑の棒グラフ)と売り越し(赤の某グラフ)
    ⑤S&P500指数とETF 20200210.png
    出所:MAP SIGNAL

    1月の初旬に買越額が高水準に膨らみ、足元では若干売り越しに転じてきている。2年前と同じタイミングと言うのがなんとも気味が悪い。一方、米国では第4四半期の決算発表シーズンを迎え、米国企業の業績は好調と言えるだろう。MAP SIGNALの集計によると、1月末時点で、第4四半期の業績を報告する企業のうち73%の企業の利益が市場予想を上回り、67%が市場の売上予想を上回ったとのこと。中国のバズーカ砲発動によって、さらにマーケットには資金が潤沢に流れ込んでいる。企業業績も好調で株式にとっては好環境が続いていると言えるだろう。しかし、この循環はちょっとしたきっかけで一気に逆回転を始める水準まで膨らんでいることは頭に入れておきたい。


    ラリー・ウィリアムズの日経平均予測

    米著名投資家のラリー・ウィリアムズは引き続き日本株には弱気のようだ。「先週、価格は上げてきていましたが、アキュムレーション(OBV)をご覧ください。以前の高値圏まで戻していません。プライスはボリュームよりも強いのですが、この先、価格は下げるでしょう」と、トレンドのモメンタムは下降への転換を気にしているようだ。


    ●ラリー・ウィリアムズの日経平均予測
    ⑥LW 日経平均予測 20200210.png
    出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)2020年2月7日 ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。


    日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』
    https://ishiharajun.wordpress.com/
    を参照されたい。




    石原順 プロフィール
    1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のデーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファンドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市場に参入し活躍する。
    相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍中。

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