マーケットレポート

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「マーケットの最前線」

2019年11月11日

第202回「シーズナルチャートとラリー・ウィリアムズの日経平均予測」石原順

石原順 石原順

  • ジャブジャブの金融相場

    レポートでお伝えしているように、9月からの「隠れQE」の発動で市場にはジャブジャブのカネがあふれ、世界各国が利下げに向かっていることから金融相場が展開されている。


    ●FEDの総資産とS&P500の推移
    ①FED総資産とSP500 20191111.png
    出所:セントルイス地区連銀

    米著名運用者のポール・チューダー・ジョーンズは、11月5日にコネティカット州で開催された<グリニッチ・エコノミック・フォーラム>で、「世界各国・地域の景気刺激策がかつてないほど株式相場を押し上げている」と指摘した。

    ポール・チューダー・ジョーンズは、「財政・金融政策の組み合わせを見ると、私が今まで見た中で最も景気刺激的だ」、「株式市場が高値を更新しているのは不思議ではない。今はまさに、短期的には間違いなく、経済成長に最も追い風が吹いている状況だ」と述べている。

    少なくとも来年の2月まで「隠れQE」が続くことから、今後の相場はNYダウも日経平均もシーズナリーチャート通りの相場展開(年末まで上がる)になるのではないかという楽観的な見方が増えている。


    ●NYダウのシーズナリーチャート(過去20年)
    ②NYダウシーズナリーチャート 20191111.png
    出所:equityclock

    ●日経平均のシーズナリーチャート(過去20年)
    ③日経平均シーズナリーチャート 20191111.png
    出所:equityclock

    ●NYダウ(日足)順張りの標準偏差ボラティリティトレードモデル 買いトレンド相場
    ④NYダウ標準偏差VM 20191111.png

    ●日経平均(日足)順張りの標準偏差ボラティリティトレードモデル 買いトレンド相場
    ⑤日経平均標準偏差VM 20191111.png


    ラリー・ウィリアムズの日経平均予測

    米著名投資家ラリー・ウィリアムズは日経平均に強気である。

    「巨大な市場である株式市場に目をむけていきます。全てのアクションはこの市場でおきて、今後もそれは変わらないでしょう。株式市場は他の市場に大きな影響を与えています。日経平均はアメリカの株式市場より強く推移しています。そのため、日経平均が先行役になっています。日足チャート上の赤と青のラインは他市場をもとにしたフォーキャストですが、● 月まで上昇しています。シーズナルパターンも ● 月第一週まで上昇しています。これが時間的なターゲットです。それまで上昇の流れにのってください」

    というのがラリーのアドバイスだ。


    ●ラリー・ウィリアムズのサイクル分析
    ⑥LWサイクル分析 20191111.png
    出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)2019年11月11日 ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。有料レポートのため、チャートおよび文章の一部を隠しています。

    ●ラリー・ウィリアムズの日経平均のフォーキャストラインとシーズナルパターンチャート
    ⑦LWフォーキャストラインとシーズナリー 20191111.png
    出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)2019年11月11日 ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。有料レポートのため、チャートおよび文章の一部を隠しています。


    過剰なフリーマネーで「世界は狂いシステムは壊れた」(レイ・ダリオ)

    世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーター・アソシエーツの運用者レイ・ダリオは11月5日、「世界は狂いシステムは壊れた」というエッセーをリンクトインに投稿した。「資金と信用力がある人にはマネーは基本的にフリー(無利息)だが、金と信用力のない人には本質的に利用できない。これは富と機会、政治的な格差拡大の要因だ」(ブルームバーグ)と述べている。レイ・ダリオはポール・チューダー・ジョーンズとともに「グリニッチ・エコノミック・フォーラム」に出席していたが、「経済的不平等は国家的な非常事態になった」と発言している。

    目先の相場には概ねどの運用者も強気だが、ポール・チューダー・ジョーンズは、来年の米大統領選挙で富裕税やGAFA解体を公約に掲げるエリザベス・ウォーレンが勝てばS&P500は25%下落すると予想している。来年も人気のウォーレンの勢いが止まらない場合は、株式市場は平静ではいられないだろう。

    NYダウも日経平均も月足をみてみると、現在は両方ともまだ調整相場の範疇にある。調整はかなり進んでいることから、大きなトレンドは上げるにせよ、下げるにせよ、来年が正念場になるのではないだろうか?


    ●NYダウ(月足)順張りの標準偏差ボラティリティトレードモデル 調整相場(次のトレンド待ち)
    ⑧NYダウ月足標準偏差VM 20191111.png

    ●日経平均(月足)順張りの標準偏差ボラティリティトレードモデル 調整相場(次のトレンド待ち)
    ⑨日経平均月足標準偏差VM 20191111.png


    積みあがるウォーレン・バフェットの手元現金は14兆円と過去最高。  

    ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイの手元現金は1280億ドル(1280億ドル×108.60=13兆9000億円)に達し過去最高を記録している。ウォーレン・バフェットは、会社の資金を株式市場に投入する代わりに、1280億ドルを現金保有することにした。これは、危機が来ていると彼が信じていることを明確に示している。


    ●バークシャー・ハサウェイの手元現金
    ⑩バークシャー現金 20191111.png

    バフェット氏のバークシャー、7-9月は利益と手元現金が過去最高
    (2019年11月3日 ブルームバーグ)

    2019年7-9月純利益、上場企業の中で最高
    純利益は520億ドル、手元現金は1280億ドル

    著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米保険・投資会社バークシャー・ハサウェイの7-9月(第3四半期)は、多くの意味で新たなピークを迎えた。

    まず、営業利益が過去最高を更新した。バフェット氏が過去最大の買収で傘下とした鉄道会社BNSFの業績が過去最高となり、バークシャーの利益を押し上げた。また、バフェット氏の株式投資利益も寄与してバークシャーの純利益は520億ドル(約5兆6300億円)に達し、同社は世界で最も利益を上げている上場企業となった。

    さらに、手元現金は1280億ドルとこれも過去最高。ただ、バークシャーのクラスA株の年初来上昇率は今月1日までで5.7%と、S&P500種株価指数の22%を下回っている。

    CFRAリサーチのアナリスト、キャシー・サイファート氏はインタビューでバークシャーについて、「手元現金を使いたくてたまらなくなるかもしれない中、慎重になるのは賢明だ。だが、いずれかの時点で重荷のようになり、全体のリターンに響くほどになるだろう」と述べた。


    ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイの現金比率は2016年以降上昇し、現在手元現金が約14兆円に達している。これは次の危機に備えた動きだろう。

    ウォーレン・バフェットは暴落する前に株を売り、暴落すると株を買うという逆張り投資家だ。これは、なかなかできることではない。人間の心理に素直に従って投資行動をすると、暴落する前に株を買い、暴落すると株を売らざるを得ないというバフェットと逆の行動になってしまうのである。

    相場の下げをずっと待っている投資家がウォーレン・バフェットだ。バフェット指標 を見れば、どう考えても高すぎるのが、現在の米国株だ。米国の株の時価総額30兆ドルというのは中央銀行バブルというカネ余りとレバレッジが生んだ、アダ花である。資産価格だけが青天井で上がり、実体経済の指標であるGDP(国内総生産)と全く釣り合っていないのが、今の全資産バブルだ。


    ●バフェット指標(GDP÷株の時価総額)
    ⑪バフェット指数 20191111.png
    出所:https://www.gurufocus.com/stock-market-valuations.php

    米国株の「妥当」な大天井は2018年1月26日に付いている
    ⑫米国株の天井 20191111.png
    出所:マーク・ファーバーの玄関マーケットレポート(パンローリング)

    ウォーレン・バフェットの運用者としての凄味は、ベンチマークにあるのではなく、彼が「暴落した時に買える唯一の投資家であるということである。2000年のドットコムバブルの時、誰もが「バフェットは時代遅れの終わった投資家だ」と叩いていたが、ドットコムバブルに踊った投機家たちはこの世界から去って行った。


    ●バークシャー・ハサウェイのパフォーマンスはS&P500を下回っているがバフェットは動かない
    ⑬バークシャーSP500を下回っている 20191111.jpg
    出所:ゼロヘッジ

    ●バークシャー・ハサウェイ(日足)順張りの標準偏差ボラティリティトレードモデル 買いトレンド相場
    ⑭バークシャー標準偏差VM 20191111.png

    ●バークシャー・ハサウェイ(月足)順張りの標準偏差ボラティリティトレードモデル 調整相場(次のトレンド待ち)
    ⑮バークシャー月足標準偏差VM 20191111.png

    近視眼的(マイオピック)な投資家は、遅かれ早かれ、市場から消えていくものなのだ。金融危機から10年、ボルカールールの撤廃や骨抜きによって、いまのウォール街は金融危機(リーマンショック)前の状況に戻っている。また、昔と同じことを繰り返しているというわけだ。

    【嘘話というのは、昨日から今日にかけて実現された価格変化率が(今日から明日にかけても)保たれるであろう、と勝手に想定しているからです。これをマイオピック(近視眼的)な期待と呼びます。どんなに高等ぶった数理統計学を使おうとも、いかほど豊富なデータを電子計算機に放り込もうとも、FT革命の根幹には、時間に関するマイオピアがあります。そして、ありていにいうと、そんな数理や統計すらが実は擬態にすぎないのです。投機家が相も変わらず勘にまかせて売った買ったと騒いでいる、それがFT革命の本質にほかなりません。あまつさえ、「政府の介入」を排せと叫んでいた「市場至上」主義者が、その死の踊りがへたれこむと、政府にベイル・アウト(救出)してくれと頼みこんだのです。それもそのはず、このバブルの最末期では、証券会社のボスたちが政府高官にたいして、「俺たちは自分のグリード(貪欲)がどうしても止められないんだ。お役人さんたちよ、我らのこの果てしなき貪欲をどうにかしてくれ」と頼み込んだというのです】

    出所:『金銭(かね)の咄噺(はなし)』 西部邁 2012年


    債券王のジェフリー・ガンドラックは、「景気後退が1年後なのか、4年後なのかは問題ではない。いま準備を始めないとすると、景気が良い間はうまくいくかもしれないが、不況になるとそれによって得られる利益よりもその投資によってもたらされる問題のほうが圧倒的に大きくなるだろう。」

    と述べている。

    ガンドラックはかねがね、「手遅れになるまでしがみつくな。たとえ、今を犠牲にしても」と述べているが、筆者の相場信条である「ファーストイン・ファーストアウト(人より先に入って先に出る)」と同じことだ。相場の最終波動にはしがみつかないということが大切だ。たとえ、最後の上げを取り損ねることになっても、最後の買い手になってはいけない。


    日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』
    https://ishiharajun.wordpress.com/
    を参照されたい。



    石原順 プロフィール
    1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のデーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファンドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市場に参入し活躍する。
    相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍中。

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