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「マーケットの最前線」

2019年10月21日

第199回「FEDのバランスシートとNYダウは連動している」石原順

石原順 石原順

  • FEDのバランスシートとNYダウは連動している

    米金融当局はバブルの延命のために2つの措置を打ち出してきた。

    ① 9月中旬のレポ市場危機以降、NY連銀が実施している臨時の資金供給オペ、来年1月まで継続する。(いわゆるPOMO)
    ② FRBは10月中旬以降に月600億ドルの短期国債の購入を開始し、これを少なくとも2020年の第2四半期まで継続する。

    米国は10月15日から米国債の購入を再開したのである。QE3が終わってから5年で、米国は量的緩和に戻ることとなった。連銀がQE(量的緩和)をやめてQT(量的引き締め)を5年続けた結果、9月中旬にレポ市場で金融危機が起きたことから、OMO(公開市場操作)をPOMO(恒久的な公開市場操作)に変えて、金融危機を防ごうというのが今回の量的緩和再開の背景だ。

    レポ市場の危機は、米金融当局が信じているよりも流動性が大幅に低いことを示している。中央銀行は、流動性を作り出し、短期市場を管理できると信じていた。しかし、レポ市場で進行している危機は、リスクと負債の蓄積が予想よりもはるかに多いことを示している。

    パウエルは、「今回の措置はQE4ではない」と述べており、正式名称は、準備金管理(Reserve Management)となっている。いずれにせよ、米国が量的緩和を再開ということに変わりはない。

    米国の株式市場はFED連銀の総資産と連動しており、資産と負債を両方膨らますというバブル延命策が打ち出されたため、株式市場の下方硬直性は高まったと言えるだろう。米国の貿易戦争も英国のブレグジットも、とりあえず「カネ余り」という楽観論でかき消そうとしているのが今の市場だ。


    ●FEDのバランスシート(総資産)とNYダウの推移(2002年~2019年)
    ①FEDバランスシートとNYダウ 20191021.png

    量的緩和が再開されたが、量的緩和には「出口」がない。量的緩和を永久に続けられるなら、経済政策で誰も苦労などしない。政府がいくら膨大な予算を組んでも、企業がいくら負債を抱えようと、政府は国債、企業は社債を中央銀行に買ってもらえばいいのである。

    著名投資家のジム・ロジャーズは「今後、私の人生で一番のベア(弱気)マーケットに突入する」と警告し、「債権バブルはあらゆるバブルと似ているが、これまでで最も酷いバブルだ。もしバブルがはじけたら、極めて多くの人々が甚大な損失を被るだろう。世界の歴史の中で、金利水準が世界中これほどの規模で低下したり、マイナス金利となった例はない。MMT(現代貨幣理論)は(ちょっと)ばかげていると思う。いろいろ試されてはいるが、もしMMTが事実なら、いま世界で一番お金持ちの国はジンバブエだったはずだ。アルゼンチンもとても裕福になっているはずだ。私はMMTなどばかげていると思う。「タダ飯」なんてものは、世の中に存在しないのだから。一時的には効果はあるかもしれないが、長期的にはしっかりと裏付けされたお金がないと、全てが瓦解(がかい)する」と、述べている。

    世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーターアソシエイツを率いるレイダリオは、景気サイクルは大停滞(great sag)の状況になる。金融危機は起こらないかもしれないが、経済は長期停滞に入るだろう」と発言している。

    JPモルガン・チェース・アセット・マネジメントのファンドマネージャー、ウィリアム・アイゲンは、「これだけの紙幣を印刷し、バランスシートに何兆ドルもの証券を積み上げていれば、ある時点で何かが壊れるということだ」と述べている。

    量的緩和策には猛毒の副作用がある。「この世にタダ飯(フリー・ランチ)というのは存在しない」ということは、頭の隅に置いておきたい。


    「QEじゃない」QE4が始まった

    以下は、ゼロヘッジの10月11日の記事『「QEじゃない」QE4が始まった』の抜粋である。FEDの提案はレポ操作を継続し、ネットで月間600億ドル分ずつバランスシートが拡大する間に2020年第2四半期にはFEDのバランスシートがおよそ4.2兆ドルから4.3兆ドルに達することを示している。


    QE4 "Not A QE" Begins: Fed Starts Buying $60BN In Bills Per Month Beginning Next Week
    「QEじゃない」QE4が始まった:FRBは来週から月額600億ドルの短期債の購入を開始する
    Fri, 10/11/2019 (ゼロヘッジ)

    Fedの「QEではない」発言に対してゴールドマンが予測を修正し、我々がその意味を整理した翌日、そして同社が、「Fedが今後4か月間60BUSDを購入するだろう」と予測したことを聞き逃した人の為にもう一度説明しよう。

    約2000億ドルの準備金不足を補充し、準備金の裏付けのない負債の増加をサポートする為に、Fedが国債と短期債の購入を決行したが、それはコンセンサスよりもずっと早く、10月15日から債権を毎月60NUSDの購入を開始するとのことだった。

    これは、「連邦準備制度が保有する財務省証券からのすべての元本の支払い、および各暦月中に受領する連邦準備制度が保有する政府債務および政府機関抵当担保証券からのすべての元本の支払いの継続的な再投資」に付随して行われる。

    要するに、その計画は、昨日ゴールドマンが「提案」したものとほぼ同じであり、FedがTSYで短期的に総計1000億ドルを購入し、「4か月間だけその購入量をテクニカルに一時的に2000億ドル増やす」という計画だ。

    ②Gross Treasury Purchase 20191021.jpg
    出所:ゼロヘッジ

    しかし、それだけじゃない、それは今日の驚くほどのレポ急増が示唆しているように、これは単に「QEではない」と言い切れないかもしれない。そして、万が一に備え、「十分な準備金の供給」を提供するために、Fedはオーバーナイトのレポを750億ドル増やし、350億ドルに上る週に2回のレポを「少なくとも翌年の1月まで」続けるだろう。

    Fedの発表がゴールドマンの提案したPOMOスケジュールと異なるところは、Fedが来年の第2四半期までそれを継続すると言っているところで、Fedは「QEではない」と言っているが、QEどころかそれ以上に攻撃的な政策に見える。そしてゴールドマンが言っている4ヶ月よりも長く続けるようだ:Fedの準備金に裏付けられていない最近の負債の増加を考慮するとFedは来年の第2四半期まで国債を購入しなければならない。そして、それは2019年9月のレベル、もしくはそれ以上のものを、ある一定期間、十分な準備金のバランスを保つためだ。

    Fedの提案はレポ操作を継続し、ネットで(月間)600億ドル分ずつバランスシートが拡大する間に2020年第2四半期にはFedのバランスシートがおよそ4.2兆ドルから4.3兆ドルに達することを示している。

    ●FEDのバランスシート
    ③FEDバランスシート 20191021.jpg
    出所:ゼロヘッジ

    以下が上記のことを説明する為にFedが発した声明だ。

    FRBの準備金のない負債の最近の、そして、予想される増加を考慮すると、2019年10月15日以降、連邦公開市場委員会(FOMC)は少なくとも来年の第2四半期までは十分な準備金を確保する為に2019年9月のレベルもしくはそれ以上の財務省証券を購入する。

    委員会はまた、少なくとも翌年1月までの期間および翌日物買戻し契約業務(レポ)を実施する。そしてそれは非準備金負債が急増した場合でも準備金の供給が十分に確保され、リスクを軽減し、 政策の実施に悪影響を与える可能性のある金融市場の圧力を軽減することが目的である。

    この決定に従い、FRB担当部門は、10月中旬から11月中旬までの期間で、最初は月に約600億ドルのペースで財務省証券を購入する。財務省証券のこれらの準備金管理による購入は、FRBの政府機関負債および政府機関抵当担保証券の保有からの元本支払いの再投資に関連する米国政府債券の継続的な購入に追加した措置だ。財務省短期証券の準備管理購入のスケジュールに関する詳細情報は、財務省証券運用サイトで毎月9営業日前後に発表される。

    この方針と一致して、担当部門は連邦準備制度が保有する財務省証券からのすべての元本の支払いをオークションで繰り越す。財務省証券の保有期間が満了すると、元本の支払いは新しい財務省証券に振り替えられる。

    さらに、少なくとも来年の1月まで、担当部門は準備金の供給が十分であることを保証し、市場からの圧力を軽減するために、夜間および期間レポ操作を実施する。期間レポ業務は通常、週に2回行われ、当初は1回の操作につき少なくとも350億ドルを提供する。夜間のレポ操作は毎日行われ、最初は1回の操作ごとに少なくとも750億ドルが供給される。期間および翌日物買戻し契約業務のスケジュールに関する詳細情報は、毎月第9営業日またはその前後に、買戻し契約業務詳細サイトで発表される


    POMOとレポを合算した火力が1か月あたり数千億ドルにもなるので、このQE4をまだ「QEではない」と言わない人がいるのだろうか。

    もしそう(QEではないと言う)ならば:Fedは経済がおそらく安定している時(そして、それはトランプがFedは「QEを行うべきだ」と言った直後)に、評論家がパウエルに何故QEを今開始するのかと質問されることを最後まで避けたい。
    これらの行動は、FOMCの金融政策の効果的な実施を支援するための純粋に技術的な手段であり、金融政策のスタンスの変化を表すものではない。もちろん、ジェローム、何と言おうとも:600億ドルの短期債POMO +週ごとのO/Nレポで750億ドル+週ごとの期間レポで700億ドル(2x 350億ドル)は明らかに「QEではない」はずがない。


    ラリー・ウィリアムズの日経平均予測

    米著名投資家のラリー・ウィリアムズは日経平均に強気である。「日経225はアメリカの株式市場にとても似ています。調整の動きがみられますが、引き続き、堅調に推移するでしょう。シーズナルパターンをご覧ください。明確な上昇時期に突入しています。フォーキャストラインも上昇と示しています。戦略は押し目を拾い、ロングを保持していくことです。高値の更新は期待できます。その主な理由はアメリカの株式市場が先行して上げていくからです」と述べ、押し目買いを推奨している。

    ●ラリー・ウィリアムズの日経平均予測
    ④LW 日経平均予測 20191021.png
    出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)2019年10月21日 ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。有料レポートのため、チャートおよび文章の一部を隠しています。



    日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』

    https://ishiharajun.wordpress.com/

    を参照されたい。




    石原順 プロフィール
    1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のデーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファンドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市場に参入し活躍する。
    相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍中。

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