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「マーケットの最前線」

2019年10月15日

第198回「米国の量的緩和再開・ラリーの日米株式市場予測」 石原順

石原順 石原順

  • QE3が終わってから5年で米国は量的緩和を再開することに

    パウエルFRBが本日10月15日から米国債の購入を再開する。QE3が終わってから5年で、米国は量的緩和を再開することになった。連銀がQE(量的緩和)をやめてQT(量的引き締め)を5年続けた結果、9月中旬にレポ市場で金融危機が起きたことから、OMO(公開市場操作)をPOMO(恒久的な公開市場操作)に変えて、金融危機を防ごうというのが今回の量的緩和再開の背景だ。

    パウエルは、「今回の措置はQE4ではない」と述べており、正式名称は、準備金管理(Reserve Management)となっている。いずれにせよ、米国が量的緩和を再開ということに変わりはない。

    今後、連銀は銀行が保有する短期米国債を合計毎月600億ドル、少なくとも今後半年にわたって購入する。レポ市場介入も10月中といっていたが、来年1月まで延長される。

    量的緩和には「出口」がないことを認識させられる事態だが、量的緩和を永久に続けられるなら、経済政策で誰も苦労などしない。政府がいくら膨大な予算を組んでも、企業がいくら負債を抱えようと、政府は国債、企業は社債を中央銀行に買ってもらえばいいのである。

    しかし、この世にタダ飯(フリー・ランチ)というのは存在しない。著名投資家のジム・ロジャーズは「今後、私の人生で一番のベア(弱気)マーケットに突入する」と警告し、「借金(債権)バブルはあらゆるバブルと似ているが、これまでで最も酷いバブルだ。もしバブルがはじけたら、極めて多くの人々が甚大な損失を被るだろう。世界の歴史の中で、金利水準が世界中これほどの規模で低下したり、マイナス金利となった例はない。MMTは(ちょっと)ばかげていると思う。いろいろ試されてはいるが、もしMMTが事実なら、いま世界で1番お金持ちの国はジンバブエだったはずだ。アルゼンチンもとても裕福になっているはずだ。私はMMTなどばかげていると思う。「タダ飯」なんてものは、世の中に存在しないのだから。一時的には効果はあるかもしれないが、長期的にはしっかりと裏付けされたお金がないと、全てが瓦解する。」と、述べている。

    現在の資産も負債も膨らますというねずみ講的両建て経済がいつまで続くのかわからないが、おそらく、ある日突然崩壊することになるだろう。しかし、今回の措置でバブルは目先、延命する可能性もある。

    ゴールドマンは、大きな音を立ててQE4が始まると予想している:FRBは、4か月間、毎月600億ドルを購入するだろう。

    Goldman Expects QE4 To Start With A Bang: The Fed Will Buy $60BN Monthly For 4 Months

    ゴールドマンは、大きな音を立ててQE4が始まると予想している:FRBは、4か月間、毎月600億ドルを購入するだろう

    (710/10/2019 ゼロヘッジ)

    1か月前、パウエル議長がFedは恒久的な公開市場操作、すなわち債券の購入、恒久的なバランスシートの拡大、量的緩和を再開するといってマーケットを「驚かせた」約4週間前、我々は「Fedは11月にQEを再開し、これがその方法だ。」で説明したように、Fed Funds-IOERスプレッドの劇的な最近の暴落は、準備金が約4000億ドル不足していたこと示している。

    ①20191015.jpg

    その不足は、短期資金市場の流動性を確保するにはRepoが明らかに不十分であったことを示しており、Fedは毎月約1500億ドルの恒久的OMOを始めるだろう、それはバランスシートのトレンド成長に多少の余裕を持たせる形で最初の2年間でバランスシートを1500億ドルまで拡大するには十分で、その狙いは準備金に余裕を持たせ、一時的なOMO(公開市場操作)の必要性をなくすことにある。この戦略により、バランスシートの成長は約1800億ドル/年になり、FedによるUST(米国債)の純購入額は今後の2年間で約3750億ドル/年となる。

    振り返ってみると、FedのQE4は「QEではない」という言い訳であり、バランスシートの再構築に関してはるかに積極的な計画であるように思える。ゴールドマンが追記で書いているように、パウエルのスピーチとコメントは「Fedが当初予想していたよりも急速にバランスシートが拡大させるのではないかと思わせる。」

    「昨日のパウエルのコメントは、委員会が定期的な会合の間であっても、この問題に積極的に取り組み、9月の記者会見で示唆された以上に速く先回りをして対策を打つ可能性があることを示唆している。」
    10月の会議の前であっても発表(ゴールドマンは今でも11月の発表と予想している)されるかもしれない。

    「財務省短期証券の購入を検討中」(財務省証券と満期短期クーポン国債の両方を意味する可能性が高い)と言及することで、パウエルはFOMCが異なる構成の資産を購入して、準備金のレベルを上げることを積極的に検討していること示したかったのだ。そして、このことによって「Fedの当局者は、以前は緩やかに準備金を調整すると考えられていたが、それよりも早く調整を済ますつもりだ。」とゴールドマンは考えている。

    ここで、我々が今まで言ってきたように、Fedはこれまで準備金を注入するために一時的な公開市場操作に依存してきたが、「恒久的な公開市場操作は、年末にかけてより効果的なツールであり、さらには(Fedが)迅速に恒久的な段階の引き上げをするであろう。」という見方にゴールドマンも同意するだろう。

    その結果、ゴールドマンは現在、FRBが4ヶ月間にわたり約600億ドルの追加の月次購入を発表し、約2,000億ドルの準備不足を補充し、準備金のない負債の成長ペースをサポートするために、財務省証券と満期短期クーポン国債に分割して購入するだろと予想している。

    ②20191015.jpg

    図1は、Fedによる米債の総購入額に関するゴールドマンの最新の予測をまとめたもの

    FOMCは、4か月間、約600億ドルの追加の月次購入をし、財務省債券と満期の短いクーポン国債で分割して行うだろう。トレンドバランスシートの拡大の再開(非準備負債の成長に対応するために月に約100億ドルのUSTの購入を意味する)に加えて、私たちのベースケースは、Fedがおおよそ4か月間、購入量を一段上げて(追加で)2000億ドル(灰色のバーで表示)増やすだろうと考えている。

    このような積極的な拡大により、準備金は「十分に豊富な」レベルに戻り、Fedは通常のツールとして一時的な公開市場操作に依存することをやめることができる。また、「有機的成長の」購入(米国債)と「補足の」購入(満期短期クーポン国債)の両方が現在の約200億ドル/月に上るUST(米国債)の購入に加わることになり、継続中のMBS(モーゲージバック証券)の返済を置き換えることとなるが、前者はバランスシートを拡大させ、後者はそうではないことを留意すべきだ。

    そして、毎月600億ドルを購入するFedがQEであるか、「QE Lite」であるか、「QEではない」の議論はあるが(ナレーター:実際にはそれはQEだがFRBはトランプの指示を受けてやっているとみられるのを避けてそう呼んでいない)、重要な課題はFRBが市場を混乱させることなくどれだけの量を/迅速に購入出来るかということだ。

    ゴールドマンによれば、国債と満期短期クーポン国債の毎月の購入は購入レベルを上げ、バランスシートを拡大させ、そしてMBSの再投資の購入は660億ドル程度(MBSの再投資から60億ドルを含む)となるだろう。これらの購入がその月の間で満遍なく行われれば、間違いなく意味があることになる、そしてゴールドマンは「それらは管理可能な範囲だ」と考えている。(それは)どうしてなのか?参考として、国債の1日あたりの平均取引量は過去1,300〜1,400億ドルでしたが、今後3年間で短期国債が満期を迎える中で直近は1,100億ドルでした。そのため、1か月にわたる660億ドルの購入は、このセクターの総ボリュームの約1.3%に過ぎない。最後のポイントは、ゴールドマンが結論付けているように、「セクターの主要なディーラー在庫は過去数か月で幾分減少したが、それでも歴史的に上昇したままであるため、FRBのそれなりのサイズの満期短期クーポン国債の購入はディーラーのコミュニティにとっては安心材料となるだろう。」

    全体像については、Fedが短期債務を積み上げているなかで、それは通常の「QE」とFRBが認めるための「打ち上げ花火」として十分であるだけではなく、債券トレーダーが来るべき不況に備えるなかで、この数か月でイールドカーブがスティープ化する場合はオペレーションツイストを開始することを示唆するには十分であろう。

    ラリー・ウィリアムズの日米株式市場予測

    引き続き、ラリー・ウィリアムズは株式市場に強気のようだ。今年は感謝祭ラリーに期待しているらしい。

    ●ラリー・ウィリアムズの日経平均予測
    ③20191015.png

    出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)2019年10月15日 ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。有料レポートのため、チャートおよび文章の一部を隠しています。

    ●ラリー・ウィリアムズのS&P500先物予測

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    出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)2019年10月15日 ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。有料レポートのため、チャートおよび文章の一部を隠しています。

    ●NYダウ(日足)ラリー・ウィリアムズの順張りインジケーター

    下のサイドバーの青の期間が買い・赤の期間が売りのドテン売買システム
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    日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』

    https://ishiharajun.wordpress.com/

    を参照されたい。

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