マーケットレポート

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「マーケットの最前線」

2018年10月 9日

第146回「金利急騰で炭鉱のカナリアも下落・ラリーの日経平均予測」石原順

石原順 石原順

  • 米国債の金利が上がると・・

    米国の長期金利(10年国債金利)は金融の1丁目1番地である。世界の民間取引の金利を決める指標であり、運用においても最重要指標である。世の中には、預金・株・債券・為替・コモディティ・不動産などいろんな金融商品があるが、これらはすべて同じものである。すべての金融商品の値段はキャッシュフローの集合体の現在価値、簡単に言うとすべて<債券>に置き換えられるからだ。

    例えば、ドル/円レートは米国の国債と日本の国債の交換、株式は償還期限のない債券である。不動産価格も収益還元法という利回りで決まる。要するにこの世のすべての金融商品は<金利>というファクターでみるとすべて同等に扱えるのである。債券の世界の中心にあるのは米国の金利であり、世界のあらゆる相場は基本的に米国の金利を中心に回っている。

    米国債の金利が上がると、企業の借り換え金利や個人のローン金利が上がり、国の利払いも増える。レーガノミクスの時代の米国の負債は1兆ドル(110兆円)だった。それがトランプノミクスの今は20兆ドル(2,200兆円)に達している。中央銀行の管理下で、低金利や量的緩和によるアダ花のようなバブルが10年も続いてきたが、この状況で金利が上がることは、トランプでなくても警戒を要する事態である。今後は米・中の貿易戦争で、中国の米国債の買い入れ額も徐々に減っていくことになるだろう。


    ●米国の公的債務総額
    ①米国債務 20181009.png
    出所:The Gloom, Boom & Doom 「マーク・ファーバー博士の月刊マーケットレポート」・国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。

    ●中国の外貨準備高(単位:10億ドル) 中国の米国債売りは金融市場の核兵器!?
    ②中国外貨準備高 20181009.png

    ブルームバーグの報道によると、世界の債券の価値が1週間で104兆円吹き飛んだという。米10年債利回りは5日に3.23%と、2011年5月以来の高水準で取引を終えた。

    ●米10年国債金利(日足)
    ③米10年国債金利日足 20181009.png

    【堅調な米経済指標や予想より引き締め気味の金融政策、商品価格の上昇、くすぶる賃上げ圧力などが重なって米国債利回りは上昇し、資産運用者を悩ませている。世界の投資適格級と高利回りの証券の指標であるブルームバーグ・バークレイズ・マルチバース指数は、先週に9160億ドル(約103兆5900億円)価値が低下した。これは2016年11月にトランプ氏が米大統領選で勝利した後以来の大幅な落ち込みだ。また、米国の高格付け債の指標であるブルームバーグ・バークレイズの指数は、今年これまでに2.53%低下。1976年以降、同指数が低下した年は3年しかない。リットホルツ・ウェルス・マネジメントの機関投資家向け資産運用担当ディレクター、ベン・カールソン氏は「債券投資家がこれほどの価値低下に直面したのは、この40数年間めったになかった」とブログに記し、「金利がさらに上昇すれば、債券リターン全般が76年以降で最悪の年になる可能性がある」と指摘した。】(10月9日 ブルームバーグ「世界の債券価値、1週間で104兆円吹き飛ぶ-1976年以降で最悪の年か」)

    上の記事によると、「金融政策がかつてなく緩和的な時代は間違いなく終わったと投資家は判断、欧州中核国と日本の債券価格も下落している」という。

    ●独10年国債金利(日足)
    ④独10年国債金利 20181009.png

    ●日本10年国債金利(日足)
    ⑤日本10年国債金利 20181009.png


    炭鉱のカナリアHYGジャンク債ETFも下落

    ジャンク債ETFと呼ばれる「HYG」=iBoxx $ High Yid Corp Bond ETFは、2008年のリーマンショック時も、2015年のチャイナショック時も事前に急落した。ゆえに、株式市場の炭鉱のカナリアと呼ばれている。逆に、ジャンク債相場が崩れない限りは、現行のバブル金融システムは延命しているということだ。

    米長期金利の上昇目途について、JPモルガンのデイモンが4%または5%、新債券の帝王ガンドラックが6%という桁の飛んだ予測を出しているなか、ジャンク債のバブルも心もとなくなってきた。


    ●'炭鉱のカナリア'HYGジャンク債ETF(日足) 
    ⑥炭鉱のカナリア 20181009.png


    ゴルディロックス相場継続のカギを握るのは人民元相場だが・・

    米中貿易戦争に対応するために中国は人民元安誘導をしていると言われ、ドル/人民元のレートが7を上回ると新興国の通貨危機がアジアに波及するのではないかと言われていた。

    しかし、人民元の売りトレンド相場は8月にピークアウトして、新興国の通貨危機不安が一服しているのが現在の状況である。中国の李克強首相が9月19日の世界経済フォーラムの講演で、「米国との貿易摩擦が激しくなる中で輸出競争力の向上を目的に人民元を切り下げることはない」と発言したことが市場の安心感につながった。

    その人民元相場が休み明けの今週再び下落し、上海株も急落している。

    【トランプ米政権は中国人民元の下落を懸念していると、米財務省の高官が8日語った。同省は半期に一度の為替報告書を来週公表する予定だ。ムニューシン財務長官は同報告書で中国を為替操作国と認定するよう、ホワイトハウスから圧力を受けてきた。人民元はこの半年間でドルに対して9%ほど下落し、アジア通貨の中でも下げが大きい。貿易を巡り米国との緊張が激化する中、中国当局が意図的に元安に誘導しているとの観測が強まっている】(10月9日 ブルームバーグ 「中国人民元の下落、トランプ政権が懸念と米高官-為替報告書の公表前」)という。

    人民元の動きからはしばらく目が離せない。


    ●ドル/人民元(日足)
    ⑦ドル人民元日足 20181009.png

    ●上海総合指数(日足)
    ⑧上海日足 20181009.png


    バブル相場にロジックはないが、それでも高すぎるバフェット指数とシラーPER

    NYSEとナスダックの合計時価総額を米国の名目GDPで割った値であるウォーレン・バフェット考案の<バフェット指数>(100%を超えると過熱水準)をみると、現在は150%と過去最高水準にある。エール大学のロバート・シラー教授が考案した<シラーPER>も現在30倍を超えているが、過去の相場で<シラーPER>が30倍を超えたのは2000年のドッドコムバブル時と世界恐慌がおこった1929年の2回しかない。通常のPERも歴史的に高水準にあるが、悪材料が出ても市場は材料視しておらず、その楽観は過剰と判断される水準に達している。現在の相場はファンダメンタルズが正当化する範囲を超えているが、これこそがバブル相場の特徴である。バブル相場にロジックはない。「まわりはみんな儲けている・・自分だけが取り残される」という焦りや恐怖の心理的相場は、相場から合理性を奪ってしまうのである。


    ●バフェット指数は150%に
    ⑨バフェット指数 20181009.png
    出所:www.gurufocus.com

    ●シラーPERはITバブル以来の水準
    ⑩シラーPER 20181009.png
    出所:www.multpl.com


    ラリー・ウィリアムズの日経平均予測

    先週、ラリー・ウィリアムズは、「日経平均は一気に上げています。しかし、この上げは終焉をむかえます。COT 代用指数をご覧ください。コマーシャルズがヘッジ売りを行っています。売りヘッジのエリアで赤線がロールアップすると、マーケットはピークアウトしています。今回も同じことになります。また、日経平均は米株市場を追い始めると思います。シーズナルパターンは 10 月末まで方向感はありません。ロングは利確して、ショートする機会を探して下さい」と述べ、日経平均の下落に警鐘を鳴らしていた。


    ●先週9月29日のラリー・ウィリアムズの日経平均予測
    ⑪LW日経平均予測 20181009.png
    出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)9月29日 ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。著作権のため、チャートおよび文章の一部を隠しています。

    今週の予測は「戻り売り」狙いである。「少し上げてくると思うが、この先、また下げる」との見方である。

    予測はあくまで予測であり、テクニカル的な条件(セットアップ)が整うまでは、筆者はポジションをとらない。ラリーもそう言っている。売買ポイントはあくまでもテクニカルに根拠を置いている。

    ●今週10月6日のラリー・ウィリアムズの日経平均予測
    ⑫LW 今週の日経平均予測 20181009.png
    出所:ラリー・ウィリアムズの週刊マーケット分析(ラリーTV)10月6日 ラリー・ウィリアムズおよび国内代理店パンローリングの掲載許可をとって掲載。著作権のため、チャートおよび文章の一部を隠しています。



    日々の相場動向についてはブログ『石原順の日々の泡』
    https://ameblo.jp/ishiharajun/
    を参照されたい。




    石原順 プロフィール
    1987年より株式・債券・CB・ワラント等の金融商品のデーリング業務に従事、1994年よりファンド・オブ・ファンズのスキームで海外のヘッジファンドの運用に携わる。為替市場のトレンドの美しさに魅了され、日本において為替取引がまだヘッジ取引しか認められなかった時代からシカゴのIMM通貨先物市場に参入し活躍する。
    相場の周期および変動率を利用した独自のトレンド分析や海外情報ネットワークには定評がある。現在は数社の海外ファンドの運用を担当する現役ファンドマネージャーとして活躍中。

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